1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07740517
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 正 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40230362)
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Keywords | 白金クラスター錯体 / 骨格変換反応 / 三核錯体 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
1.新規三核錯体の合成 [Pt_4(CH_3COO)_8](1)の面内配位座に嵩高いN,N′ジメチルエチレンジアミン(Me_2en)を配位させることにより骨格変換反応を引き起こさせ新規三核錯体,[Pt_3(CH_3COO)_4(Me_2en)_3]^<2+>(2),を合成することに成功した。また,既知のシクロヘキサンジオンジオキシム(cdoH_2)の三核錯体,[Pt_3(CH_3COO)_4(cdoH)_2(cdoH_2)](3),のり面内配位座をエチレンジアミンで置換することにより新規三核錯体,[Pt_3(CH_3COO)_4(en)_3]^<2+>(4),を合成することに成功した。このことより嵩高い配位子を用いなくとも置換反応により新規三核錯体を合成できることが示された。 2.三核錯体の構造 得られた錯体のうち2の過塩素酸塩,[Pt_3(CH_3COO)_4(Me_2en)_3](ClO_4)_2・NaClO_4,および本研究以前に合成したジメチルグリオキシム(dmgH_2)の三核錯体,[Pt_3(CH_3COO)_4(dmgH)_2(dmgH_2)](5),のについて結晶構造解析を行った。5は構造既知の3とほぼ同様な結合距離角度(骨格部分)であり白金三核骨格は二等辺三角形(Pt-Pt=2.60,2.52Å)であった。2については当初の目的通り面内配位子間に水素結合は存在していないが,面内配位子の配位窒素原子と面外の単座配位酢酸イオンとの間に水素結合が存在した。また白金三核骨格についても面内配位子間の水素結合がないことを反映してより正三角形に近く(Pt-Pt=2.59,2.56Å)なっていた。 3.面内配位座の置換反応性 今回新規に合成された三核錯体には面内配位座間の水素結合が存在しないため高い反応性が期待された。そこでに2に過剰のenを反応させたところ完全にenに置換した4が得られた。dmg錯体やcdo錯体のグリオキシム配位子による置換では三置換体が得られていないことから,今回の三核錯体の置換反応性が高くなってはいるが1から期待されたほどの反応性ではなかった。これはエチレンジアミンの配位性が大きく白金との結合が強くなり脱離しずらくなったためと考えられる。
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