1995 Fiscal Year Annual Research Report
累積膜中での電荷移動錯体蛍光に対する電場効果の研究
Project/Area Number |
07740535
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 賢宣 北海道大学, 工学部, 助手 (60218211)
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Keywords | 電荷移動錯体 / ビアントリル / 吸収スペクトル / 蛍光スペクトル / 電場効果 / シュタルクシフト |
Research Abstract |
9,9′-bianthryl(BA)の蛍光は極性媒体中では各々アントラセン環に局在した状態および電荷移動相互作用して生成した状態に対応する2種の発光種から発することが知られており、励起状態での電子構造およびその動的変化に関しては深く関心が持たれている。そこで本研究では励起状態についてのこれらの知見を得るために、BAの吸収及び蛍光に対する電場効果の実験を行った。アルミニウム(Al)を真空蒸着した無蛍光性石英基板に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にドープしたBAをキャストし、その上に再びAlを蒸着してSandwich構造にしたものを測定試料として用い、これにリ-ド線を付け、ファンクションジェネレーターにより一定周波数の交流電場(ω)を印加し、参照信号に同期した蛍光強度の変化量および透過光強度の変化量をロックインアンプを用いて電場変調分光法により検出した。 電場変調吸収スペクトル測定は、変調周波数の2倍の周波数(2ω)に同期した成分のみが観測され、これは吸収スペクトルの1次微分によく対応することから光励起に伴う分子分極率の変化に伴うStark効果によることがわかった。得られた結果より、この分子分極率の変化量(Δα)は、90Å3と見積もられた。蛍光測定についても変調周波数に同期された蛍光強度の変化量(1ω成分)は観測されず、2ω成分のみが観測された。得られた蛍光の2ωスペクトルは蛍光スペクトルの1次微分と2次微分および蛍光スペクトルの線形結合で表わすことができ、最後の項は電場による蛍光消光に起因している。各々の微分に対応する寄与から、発光種の発光に伴う分子分極率の変化および電気双極子モーメントの変化量は各々210Å3(減少)、2.1D(減少)と求められた。 光吸収直後に生成するBA励起分子はアントラセン環に励起が局在化したいわゆるLE状態と考えられるのに対し、蛍光を発するBAの励起分子は比較的大きな電気双極モーメントを有することからLE状態に加えて、電荷移動CT状態が寄与するものであることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)