1995 Fiscal Year Annual Research Report
酵素機能を光で調節するシステムの構築-フォトクロミックな酵素阻害剤の開発-
Project/Area Number |
07740567
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 講師 (90231571)
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Keywords | アルケンイソスター / サイクリック AMP / Caged cAMP / 膜透過性 / 色素胞 |
Research Abstract |
以下の2項目について研究を行った。 1 プロテアーゼを阻害するペプチド類似体の開発 プロテアーゼの阻害剤として働くフォトクロミックなペプチド類似体として、Ac-Phe-Ψ-(CH_2=CH_2)-NAをデザインし、フェニルアラニンから出発して7段階で合成した。これの光によるシス-トランス異性化を検討したところ、330nm光照射により光定常状態でシス:トランス=66:34の混合物が得られた。今後は阻害剤として働くかどうかの検討を行う。 2 膜透過性を高めたCaged cAMP誘導体の開発 酵素の活性を調節するアプローチの一つとしてCaged化合物の利用が考えられる。これは生理活性物質を光分解性保護基で保護して不活性にした化合物の総称で、光照射によって対応する酵素の活性を瞬時にONにすることができる。この方法の特徴は生きた細胞中での酵素機能を調節できることにあるが、従来のものは細胞内での安定性や膜透過性に問題があった。そこでcAMPをターゲットに選び、暗所では安定でしかも高い膜透過性を持つCaged化合物の開発を目的に研究を行った。その結果7位にアシロキシ基を持つクマリン誘導体を保護基とすると、非常に効率よく細胞内に取り込まれ光照射によってcAMPを放出することを明らかにした。この新しいCaged cAMPは、細胞内に取り込まれると細胞質中のエステラーゼによって7位のアシロキシ基が加水分解を受けヒドロキシ基に替わることによって、細胞膜透過性の低下と吸光係数の増大による光分解性の上昇が達成できる。実際、アッセイ系としてメダカのうろこの黒色素胞の拡散凝集を用いたところ、従来のどれよりも優れた効果を示した。今回のアプローチは、細胞内に取り込まれることによって膜透過性の低下と光分解性の上昇という2つの効果を光分解性保護基に持たせた初めての例であり、他のCaged化合物にも応用可能な極めて一般性の高いものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T. Furuta: "Activation of Selenoglycoside by Photoinduced Electron Transfer." Chemical Communications. 157-158 (1996)
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[Publications] M. Odaka: "Synthesis of Caged Compounds of L-luecyl-L-leucine Methyl Ester, an Apoptosis Inducer, and Their Cytotoxic Activity." Biochem. Biophys. Res. Commun.213. 652-656 (1995)
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[Publications] T. Furuta: "Photochemical Properties of New Photolabile cAMP Derivatives in a Physiological Saline Solution." Journal of Organic Chemistry. 60. 3953-3956 (1995)
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[Publications] S. Okada: "(1-Pyrenyl)methyl Carbamates for Fluorescent “Caged" Amino Acids and Peptides." Photochemistry and Photobiology. 61. 431-434 (1995)