1995 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻類ワカメと茎部に寄生する端脚類の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
07740594
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青木 優和 筑波大学, 生物学科系, 助手 (70251014)
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Keywords | ワカメ / 端脚類 / 植物と動物の相互作用 / 穿孔寄生 / 生息場所 |
Research Abstract |
コンブネイムシCeinina japonica および他の海藻寄生端脚類ワカメUndaria pinnatifida への寄生過程を調べるため、下田市鍋田湾内のワカメの実験固体群について1993年12月から1994年5月にかけて1週間定期調査を行った。ワカメの成長速度は、2-5月にかけて行ったマーク固体について穴あけ法による調査によって求めた。定量採集としては、ワカメの付着基質であるロープ10cmあたりに付着しているワカメを1サンプルとし、毎回8サンプルを実験室に持ち帰った。定量採集により検討したワカメの固体数は1月には126-146株、2月には110-127株、3月には65-112株4月には42-64株と減少した。採集したワカメについては、藻体の茎部・葉部の長さを測り、各部におけるコンヌノネクイムシによる寄生の有無を調べた。 ワカメの葉部はその基部で新生し、末端で順次崩壊する。一方、葉部を支える茎部は伸長はするが更新されることがなく、空間的に限られてはいるが、葉部に比べて安定した成息基質であるといえる。ワカメの茎部の伸長は2月初句に停止したのに対し、葉部の生長は3月末まで続いた。ワカメに穿孔寄生する端脚類のワカメ藻体への侵入と造巣は1月初句より始まり、ワカメ固体群に対する寄生巣または寄生痕は2月末に50%を越え、4月上旬に100%に達した。このうちコンブノネクイムシは主に茎部に寄生し、穿孔し、葉部の基部伸長と末端からの崩壊にあわせて巣の放棄と新規造巣を繰り返しながら増殖していくとみられる。このことから、ワカメ藻体の質的に異なる生息部位は、異なる生活型をもつヨコエビ類によって利用されていることが明らかになった。
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