1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本産Rissoellidae(軟体動物・腹足網・異旋目)の系統・分類学的研究
Project/Area Number |
07740667
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 和範 国立科学博物館, 筑波研究資料センター・昭和記念筑波研究資料館, 研究官 (70270410)
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Keywords | 異旋目 / Rissoellidae / 系統分類 / 神経系 |
Research Abstract |
本研究では日本産ガラスツボ科Rissoellidaeの系統・分類学的な検討を行った。具体的にはまず北海道と九州においてこれまで材料の乏しかった種類を採集し、歯舌などの硬組織の微細構造や生殖器官系の構造について検討を行い、また、神経系と循環器系の構造についても予備的な研究を行って、このグループの日本産の種類について明らかし、それらの系統関係も検討した。 まず、材料の採集のため北海道大学理学部付属厚岸臨海実験所と九州大学理学部付属天草臨海実験所においてそれぞれスキューバ潜水により材料を採集し、実験所の研究室で種類の同定を行った後にブアン、ホルマリン及びアルコールの各固定液で固定し、それぞれパラフィン切片標本、顕微鏡下解剖、及び保存用標本(新種記載時の模式標本予定のものを含む)を用いた。また、神経系の塗銀染色のためには神奈川県横須賀市荒崎及び茨城県ひたち那珂市において採集した材料を研究室に持ち帰り、ブアンで一昼夜固定した後、Bodian-石川変法により塗銀染色を施した。 結果として、日本産のガラスツボ科として13種を確認し、そのうち9種を未記載種と認めた。それらは、今回新たに明らかにした生殖器官や顎板の微細構造などの形質に基づいて未記載の1属を含む6属に分類され、さらにそれらの属の系統関係について解析を行いつつある。塗銀染色法による神経系の微細構造の検討とDABによる血管系の分別染色についてはこれまでのところNonspecificな反応のために良好な結果を得るに至っていないが、固定や反応の条件を変えて実験を繰り返せば良好な結果が得られる可能性が高く現在も実験を継続中である。なお、本研究で同時に得られた別の科グループの一種Amphithalamus fulciraの形態と分布については既に発表している(研究発表欄参照)。
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[Publications] Hasegawa,K.: "Occurrences of Amphithalamus (Amphithalamus) fulcira (Laseron,1956) in Japanese Waters : The first record of the family anazathronidae from the N.E.Pocific." Bulletin of the National Science Museum Ser A (Zoology). 21(3). 143-155 (1995)