1995 Fiscal Year Annual Research Report
スメクチック液晶の分子・層挙動ダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
07750011
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岡田 裕之 富山大学, 工学部, 助教授 (80233344)
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Keywords | 液晶 / 電気光学応答 / スメクチック液晶 / 電傾効果 / X線回折 / 時間分解X線回折 |
Research Abstract |
スメクチックA液晶による電傾効果は、高速性、線形応答より注目されている。研究者は、透過率応答による分子挙動、及びX線回折測定による層挙動との関連を検討するとともに、時間分解X線回折法を開発し、分子・層挙動のダイナミクスを総合的に検討した。 スメクチックA液晶は、電気光学特性が温度に対して指数関数的に変化する。まず液晶材料の光学特性を調べるためアッベ屈折計((株)アタゴ,TYPE 1T)を導入し、屈折率の温度依存性を調べ本特性をもとに液晶素子設計を行った。光学的解析では、温度不安定性に基づく特性変動が無いよう精密温度制御ホットステージ(メトラ-社,FP82HT)を導入した。上記条件下で電気光学応答を測定したところ、透過率の仕上り応答に二つの時定数成分を持つ応答異常が観察された。また直流電圧印加状態での層構造解析を行ったところ、電気光学応答の電圧値に対応してブックシェルフ-シェブロン構造間の可逆的層変形が確認された。 分子及び層挙動の詳細を明らかにするために、新たに時間分解X線回折法を開発し層挙動の初期的実験を行った。その結果、層挙動は分子挙動と比較して数桁遅い時定数を有する過程であることが分かった。また分子・層挙動及び交流印加での周波数依存性を総合し、層挙動に対する仮説を示した。 内容については論文投稿中である。実際の結論を出すために、電圧印加に伴う層挙動の立上り、立下り緩和時間の正確な導出、層挙動のモデリングおよび分子・層の再配列に対する考察が必要と考えており、詳細な検討が今回の研究実績の一つである時間分解X線回折法により可能と考えている。
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