1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750020
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋田 成司 大阪府立大学, 工学部, 助手 (60202529)
|
Keywords | フラーレン / カーボンナノチューブ / アーク放電 / プラズマ発光分光分析 / 電気泳動 |
Research Abstract |
炭素ナノチューブは、C_<60>を始めとするフラーレン類と同様に、炭素を不活性ガス中でアーク放電することで生成される。これの構造は、中空の1重または多重入れ子円筒で、炭素の取り得るユニークな構造として注目されている。孤立する一重構造のチューブには、バンドギャップがあることが理論的に示されており、非常に細い1次元的な半導体であることが予想されている。本研究の目的は、実験的に生成機構や電子物性を明確にする事である。 1)生成機構 炭素ナノチューブ生成時のアーク放電プラズマに対して、発光分光分析(OES)の空間分布の測定を行ってきた。陰極近傍の中性粒子の温度を発光分光分析の結果から求めると、5500K程度となる。この温度では陰極近傍においてプラズマ中では、炭素2量体は単量体の約20%である。一方、炭素イオンの温度は10000K以上と非常に高温で、炭素アーク放電中においては一種の非平衡状態であることを明らかにした。さらに、ある程度のイオンが存在する条件でナノチューブの収率が向上することを見出した。 2)電子物性 アーク放電によって生成した多層の炭素ナノチューブの電流-電圧特性および電流の温度依存性を、絶縁基板上に設けた数μmのギャップをもつアルミ電極上にアルコールなどにナノチューブ分散した物を滴下したものを試料とし測定した。これらの測定結果の中には、電流の温度依存性が活性化型の半導体的な性質を示すものがあり、その活性化エネルギーは50meV〜1eVと非常に幅広い。このような特性はこれまで実験で確認されたことが無い。 また、乾燥中に電界を印加すると電界方向にナノチューブが配向する減少を見いだした。
|