1995 Fiscal Year Annual Research Report
クロムイオンドープ波長可変レーザー結晶の飽和増幅特性を利用した高速位相共役鏡
Project/Area Number |
07750045
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
尾松 孝茂 千葉大学, 工学部, 助手 (30241938)
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Keywords | 非線形光学 / 位相共役波発生 / 空間ホールバーニング / 固体レーザー |
Research Abstract |
レーザー媒質の飽和増幅を介して非線形分極を誘起するのに必要な光強度はレーザー活性種であるイオンの誘導放出断面積とレーザー上準位寿命の積に反比例する。Cr^<3+>に比べ、Nd^<3+>は誘導放出断面積が数倍大きく、また、実験にNd: YAGレーザーを光源として使用できることから、実験が容易である。そこで、前段階としてCr^<3+> LiSAF等の代わりにNd: YAG結晶を非線形媒質として使用し、縮退四光波混合による位相共役波発生を行った。フラシュランプ励起Nd: YAGロッド中に100μsのパルス幅を持つNd: YAGレーザー光を入射して、四光波混合を行った結果、ポンプ光強度約100W/cm^2で位相共役波反射率は30%に達し、低入力動作可能な位相共役鏡が実現できた。また、この時の位相共役鏡の立ち上がり時間は数10μsであった。この応答時間は非線形媒質に入射した光エネルギーの積分値が非線形媒質の利得飽和フルエンスに達する時間で決まるものと考えられる。高速応答化には誘導放出断面積の大きな材料を用いることが考えられ、代表的なものに有機色素が挙げられる。そこで、クマリン系色素を非線形媒質として用いて、Q-switched Nd: YAGレーザー光の第二高調波を光源として縮退四光波混合を行った。ポンプ光強度20〜50kW/cm^2において、約10%の位相共役波が発生し、その立ち上がり時間は約3nsであった。これらのことから、位相共役波の応答速度はほぼ非線形材料として用いるレーザー媒質の誘導断面積で決定され、位相共役鏡の動作に必要な光強度はレーザー媒質の上準位寿命で決定されていることがわかった。これらを踏まえて、今後Cr^<3+> LiSAF等のCr^<3+>イオンドープレーザー結晶で実験を行う予定である。
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[Publications] 尾松孝茂: "Nd: YAGレーザー媒質の飽和増幅特性を利用した自己励起位相共役波発生" 第20回光学シンポジウム講演予稿集. 17-18 (1995)
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[Publications] 藤井直美: "飽和増幅媒質であるNd: YAG結晶を用いた位相共役波発生" 日本写真学会秋季大会講演要旨集. 148-150 (1995)
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[Publications] T.OMATSU: "Thermal effects in laser diode pumped self-frequency-doubled NYAB microchip laser" Optics Communications. 118. 302-308 (1995)