1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島野 亮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40262042)
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Keywords | 励起子 / 非線形光学 / 超短パルス分光 / 位相共役波発生 |
Research Abstract |
非線形光学応答を考える上で、結晶の配列や次元は非常に大きな影響を及ぼすと考えられ、より高効率、高速な光非線形光学応答を実現する上で重要な要素である。そこで、本研究では二次元励起子系を対象に、励起子輻射緩和や非線形光学応答に、系の次元性がどのように反映されるかを実験的に解明することを目的としている。物質系として、分子性結晶アントラセンの表面励起子、および半導体GaAs単一量子井戸を取り上げた。 アントラセン単結晶は気相成長法により作成した。まず反射スペクトル測定を行い、十分良質な結晶が作成されたことが確認された。次に、フェムト秒ポンププローブ分光法を行った結果、非線形信号が表面第1層、第2層励起子共鳴で強く増強されることが観測された。また、実験結果から励起子の位相緩和時間を評価した結果、表面第1層の励起子の位相緩和が第2層励起子に比べ3倍程度速いことがわかった。これは、励起子の面内への閉じ込めの度合いが、第1層の方が第2層より強いことを反映したものと考えられ、系の次元性の効果が観測されたものと考えられる。二次元フレンケル励起子系の位相緩和を、時間軸上で直接測定したのは本研究が初めてである。 次に、半導体二次元励起子系としてGaAs単一量子井戸微小共振器取り上げた。半導体量子井戸構造では、励起子の閉じ込めを反映してその非線形光学応答が、バルクに比べ大きくなることが知られている。本研究ではこのGaAs単一量子井戸を光の波長程度の微小共振器構造にすることで、光との相互作用を強め、実効的な非線形性をより増強することを試みた。測定手法として、自己励起型位相共役波発生を試み、共振器-励起子二重共鳴で非線形応答が非常に強く増強される(1000倍程度)のがわかった。
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[Publications] R. Shimano, S. Inouye, M. K. Gonokami, T. Nakamura, M. Yamanishi, and I. Ogura: "Efficien Phase Conjagation Wave Generation from a GaAs Single Quantum Well in a Microcavity" Jap. J. Appl. Phys. Part2 Lett. 34. 817-820 (1995)