1995 Fiscal Year Annual Research Report
ディリクレのモザイクを用いた繊維強化複合材料のマイクロメカニックスに関する研究
Project/Area Number |
07750111
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
荒木 栄敏 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60222741)
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Keywords | マイクロメカニックス / 複合材料 / 強化繊維 / ディリクレのモザイク / ボロノイ領域分割法 / 局所繊維含有率 / き裂架橋繊維 |
Research Abstract |
本研究は,一方向連続繊維強化複合材料に対して,繊維軸に垂直な面内における繊維の偏在を考慮したマイクロメカニックスモデルを構築し,繊維の偏在が巨視的な力学特性に与える影響を明らかにすることを目的とする.今年度は, (1)繊維軸に垂直な面内における繊維の偏在分散状態をディレクリのモザイクで表し,各モザイク内での局所繊維含有率の分布密度関数を定めた. (2)材料内にき裂架橋繊維が存在する場合をモデル化し,局所繊維含有率の分布密度関数をき裂内で平均したものがき裂とき裂架橋領域の面積比に等しいとおくことによって,き裂架橋領域の含有率を定めた. (3)各領域を介在物に置き換え,これを等価介在物法を用いて解析することにより,き裂のエネルギ解放率を求めた. という点まで解析を行うことができた.しかしながら,複合材料の靱性を考える際に極めて重要な役割を果たすき裂架橋領域の含有率が,繊維の偏在を与える局所繊維含有率をき裂内で平均化したものであるという取扱いを行ったことと,き裂先端近傍における繊維の偏在状況を考慮していないということから,得られたき裂のエネルギ解放率はき裂回りの局所繊維含有率と同じ含有率の繊維を完全にランダムに含む複合材料のものとなり,繊維の偏在をうまくモデルに導入できなかった.これは,特に繊維の偏在が極めて大きい場合に顕著であり,繊維の偏在によって生じる相互作用場の影響を考慮していないためであると考えられるため,今後は,これを考慮したモデル化を行うべく努力する予定である.
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