1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750142
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
武澤 伸浩 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (50236452)
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Keywords | ぜい性 / 延性遷移 / 分子動力学法 / シリコン / ナノスケール |
Research Abstract |
分子動力学法用いダイヤモンドを圧子によるシリコンのインデンテーション、及び、ダイヤモンドを工具としたシリコンの切削のシミュレーションを行なった。インデンテーションのシミュレーションは(111)面を表面とするビッカース型ダイヤモンド圧子を(001)面を表面とする完全結晶のシリコンに100m/sの速度で押し込んだ。一方切削のシミュレーションは、(111)面を表面とする鋭い先端を持ったダイヤモンド工具により、(111)面を表面とする完全結晶のシリコンを切削厚さ1nmで切削を行なった。工具速度は200m/sとした。また、Si-Si間、Si-C間、そして、C-C間の原子間ポテンシャルはTersoffのポテンシャルを使用した。 分子動力学法を用いて行なったナノスケールのインデンテーションおよび切削のシミュレーションの結果から、インデンテーション、切削のどちらも、クラックが発生せず、ナノスケールではシリコンは延性的に変形することがわかった。 インデンテーション時のシリコン結晶中の応力分布を見ると、圧子の表面から垂直に圧縮応力が分布し、引張応力はほとんど見られなかった。また、圧子下部にせん断応力の集中も見られなかった。このことからナノスケールでの応力分布は通常のマクロスケールのものとはかなり異なっていることがわかる。 以上のことから、ナノスケールでは脆性材料であるシリコンは延性的に変形し、ナノスケールの変形の機構はマクロスケールのそれとは異っていることがわかった。したがって脆性/延性遷移現象を解明するためにはメゾスケールの現象を解明する必要があると言える。
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[Publications] 稲村豊四郎、武澤伸浩、社本志郎: "繰り込み変換分子動力学法について(第1報、基礎理論)" 第8回計算力学講演会講演論文集. 473-474 (1995)
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[Publications] 武澤伸浩、稲村豊四郎、社本志郎: "繰り込み変換分子動力学法について(第2報Siの押し込み試験への適用)" 第8回計算力学講演会講演論文集. 475-476 (1995)
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[Publications] 社本志郎、稲村豊四郎、武澤伸浩: "繰り込み変換分子動力学法について(第3報Siの切削への適用)" 第8回計算力学講演会講演論文集. 477-478 (1995)
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[Publications] Shoichi Shimada, Toyoshiro Inamura, Naoya Ikawa, Nobuhiro Takezawa: "Physics of Micromaching-A Molecular Dynamics Approach-" 8th IPES. 447-450 (1995)