1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750184
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松井 純 横浜国立大学, 工学部, 講師 (40251756)
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Keywords | 希薄気体流 / 数値シミュレーション / 境界条件 / 分子動力学 / 表面散乱 |
Research Abstract |
清浄な個体表面を構成する約800個の結晶分子の上に,気体分子を数個付着させ熱平衡状態にしておき,そこへ同じ種類の気体分子が衝突する現像を分子動力学の手法を用いてシミュレートそた.まず個体結晶分子をPt,気体分子をXeとした計算を行い,分子の挙動を可視化したところ,衝突にともない付着分子が離脱する現象や,付着分子が表面に平行に移動するmigration現象が見られ,現実に生じているとされる現象が再現できていることが認識できた.このような計算を300から400程度初期値を変えて行い,統計値を解析した.清浄な場合と比較したところ,飛来する気体分子が最初の衝突で失うエネルギと衝突位置の間に明らかな相関が観察され,主に付着分子と衝突する場合と,主に結晶分子に衝突する場合とに現象を分類できることがわかった.この構造は付着分子の個数が異なる場合にも常に観察されることから,被覆率に応じてこれら2種類の散乱挙動をミックスすることで付着の効果をモデル化できることがわかる.また正確な3次元計算と,これを簡略化した2次元計算の結果を比較したところ,散乱角度分布は若干異なるが,エネルギーの伝達に関して2次元計算で定量的に3次元計算を再現できることが明らかになった.この性質を利用して,計算時間の比較的短い2次元計算による解析を行うこととした.し また,衝突における各種パラメタのうち,分子間ポテンシャル係数を主として変化させ,その散乱過程への影響の程度を解析した.その結果,ポテンシャル係数のうちエネルギを実現するパラメタを変化させたときの伝達エネルギーの変化は1次的でほぼ比例の関係にあることがわかった.この傾向は付着分子が存在しない場合における傾向と一致したおり,衝突過程における伝達エネルギーは1つのモデル式で表現しうると考えられる.
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