1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750333
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
末岡 和久 北海道大学, 工学部, 助手 (60250479)
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Keywords | 磁気力顕微鏡 / 探針 / MFM |
Research Abstract |
磁気力顕微鏡(MFM)の測定データを解釈をするためのMFM探針磁気特性について、標準磁気ヘッドの漏洩磁界の測定、ハードディスク用のメディアの記録ビット構造の測定結果より検討を行った。また、探針の磁気構造および磁気異方性、磁気モーメントの大きさを見積もるためにSQUIDおよび透過型電子顕微鏡を用いた評価を試みた。標準磁気ヘッドは本研究においてMFM探針評価を行うために設計・作製したものである。 探針にはシリコンマイクロカンチレバ-上にコバルトをおよそ100nm蒸着したものを用いた。約8000Gauss磁場中で探針の軸方向と探針軸方向に垂直な方向に対してそれぞれ磁化し測定・評価を行った。 1.標準磁気ヘッドの測定では、二つの異なる磁化方向の探針ではそれぞれ違ったMFM観察像が得られ、漏洩磁場が大きくなるとこの磁場による磁化反転が起きることが確認された。また、探針に垂直に磁化した探針では理論的に予想される磁場勾配分布とは異なる測定データが得られた。 2.探針方向に磁化したものでは、理論的に予想される実験結果が得られた。一方、垂直に磁化を試みた探針では、得られる像が探針を磁化する度に異なり、探針方向磁化のものと同じデータが得られることもあった。これらの測定は磁化の大きさを変えた実験も行った。 3.SQUIDの測定では、探針垂直方向は探針方向より磁化しにくいことが分かったが、探針方向に磁化容易磁区があるという決定的な証拠を得ることはできなかった。 4.透過電子顕微鏡による探針先端部分の観察より、コバルトの結晶軸は探針に垂直な方向にあることが確認された。またデフォーカスに設定にし、ローレンツ顕微鏡モードの観察ではいくつかの磁区が観察した。 以上の実験結果より、MFM探針の探針に垂直な磁気特性および探針方向の磁気特性を総合的に評価することができ、これよりMFM像を解釈するための新たな指針が得られた。
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[Publications] K.Mukasa,K.Sueoka,H.Hasegawa,Y.Taduke,H.Hayakawa: "Spin-Polarized STM and its Family" Materials Science & Engineering. B31. 69-76 (1995)
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[Publications] K.Mukasa,K.Sueoka,H.Hasegawa,Y.Taduke,H.Hayakawa: "Spin-Polarized Scanning Tunneling Microscopy and its Family" Optoelectronics-Devices and Technologies. 10. 259-268 (1995)
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[Publications] 佐々木泰、亀井孝明、吉本智巳、岩田達夫、鈴木和郎、末岡和久、武笠幸一: "集束イオンビームを用いた探針加工の研究" 真空. 38(3). 401-403 (1995)
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[Publications] 末岡和久、有澤幸恭、迫陽一、武笠幸一、早川和延: "スピン偏極トンネル分光による表面磁性の研究" 電子情報通信学会技報. CPM95-40. 25-30 (1995)