1995 Fiscal Year Annual Research Report
時間・周波数領域の制御仕様を同時に考慮した混合最適化制御の研究
Project/Area Number |
07750507
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
延山 英沢 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50205291)
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Keywords | 制御系設計 / 混合最適化制御 / 有限時間整定制御 / H_∞ノルム規範 |
Research Abstract |
本研究では,複数の制御仕様を同時に満たすような制御系を構成する制御系設計法を与えるのが目的である.その中で,本年度の目的は,特に,時間領域と周波数領域の制御仕様を同時に満たすような制御系設計問題を考えることであった.時間応答を考慮する設計法としては,予め与えた整定時間で制御量の偏差を完全に零にすることを目的とした有限時間整定制御,制御量の偏差の絶対値面積を最小化することを目的としたL_1(l_1)最適化制御を取りあげる予定であったが,今年度は有限時間整定制御を中心に研究を進めた.また,周波数領域を考慮する設計方法としては,周波数整形法で用いられるH_∞ノルム規範を考えた.これは制御対象に不確かさが存在した場合のロバスト性の尺度となるものでもある.そこで,今年度は,(サンプル値系における)有限時間整定性を保った上で,H_∞ノルム規範(正確にはL_2誘導ノルム規範)を最小にする設計法の開発を目指した.そして,これまでの研究で得られていた有限時間整定制御を達成するすべてのコントローラのパラメトトリゼーションを元に,そのコントローラに含まれる自由度を用いてL_2誘導ノルム規範を最小にするような設計法を開発した.その方法では,設計パラメータであるコントローラの自由度が閉ループ系の実現のなかに線形な形で含まれるので、L_2誘導ノルム規範を最小にする問題はその線形性が活かされた凸問題となる.そして,その凸問題は,数値的最適化を用いて実際に効率よく解くことができるので,目的のコントローラを実際に得ることができる.また,コントローラの自由度を用いて制御偏差と入力偏差の自乗面積規範を最小にする問題も考察し,それが設計パラメータに対する最小自乗問題となり,容易に解けるという結果も得られた.
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