1995 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレット変換の電磁波散乱現象解析への適用に関する研究
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07750510
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西本 昌彦 熊本大学, 工学部, 助教授 (60198520)
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Keywords | ウェーブレット / 電磁波散乱 / 時間周波数解析 / 多重解像度解析 / 散乱中心 |
Research Abstract |
本研究は,物体からの散乱波をウェーブレット変換を用いて分析し,時間-周波数分布の特性から物体の情報をどの程度得ることができるかを検討すること目的として行った。研究では,まず,時間応答のみならず周波数応答に対してもウェーブレット変換を適用し,周波数分解能がどの程度向上できるかを調べた。次に,物体の重要な情報である「散乱中心」および「共振周波数」の抽出に適した基本ウェーブレットについて検討し,代表的な形状の物体(柱状導体・誘電体,,球等,キャビティ構造)について数値シミュレーションを行った。結果は以下のとおりである。 1.周波数応答に対してウェーブレット変換を適用することについての検討 時間応答に対するウェーブレット変換の適用は,高周波成分に対しては周波数分解能が低いため,共振周波数の抽出に不向きであることがわかった。これに対し,周波数応答に対するウェーブレット変換の適用は,応答の初期で時間分解能が高く,応答の末期で周波数分解能が高くなるため,応答の初期に現れる鏡面反射の応答を明確に分離でき,応答の末期に現れる共振応答から共振周波数を明瞭に抽出できることがわかった。したがって,電磁波の散乱応答分析では,時間応答よりも周波数応答に対してウェーブレット変換を施した方がよいことがわかった。 2.物体情報の抽出に適した基本ウェーブレットに関する検討 基本ウェーブレットとして,Mexican hat,Gabor型ウェーブレット,Harrウェーブレット,Kaiser-Bessel関数を使い,情報抽出に適したウェーブレットを検討した。その結果,Gabor型ウェーブレットはパラメータによって容易に性質を変えることができる融通性に富んだウェーブレットであり,電磁波散乱応答の分析に最も適していることが明かとなった。また,数値シミュレーションの結果より,その有効性も確認できた。 結局,電磁波散乱応答分析では,周波数応答をGabor型ウェーブレットを用いて分析するすることが最適であることが明確になった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 西本昌彦: "電磁波散乱現象のウェーブレット解析" 電気関係学会九州支部連合会大会論文集. 586-586 (1995)
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[Publications] 西本昌彦: "ウェーブレット変換によるの散乱電磁界の時間周波数解析" 電気学会電磁界理論研究会資料. EMT-95-39. 17-25 (1995)
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[Publications] 西本昌彦: "ウェーブレット変換を用いたターゲットからの電磁波散乱応答の解析" 電気学会電磁界理論研究会資料. EMT-95-89. 63-71 (1995)
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[Publications] 西本昌彦: "ウェーブレット変換による電磁波散乱現象の時間周波数解析" 電子情報通信学会総合全国大会講演論文集. (発表予定). (1996)