1995 Fiscal Year Annual Research Report
混合セメントの強度発現モデル及び複合水和発熱モデルの膨張材への拡張
Project/Area Number |
07750543
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 利治 東京大学, 工学部(試), 助手 (90251339)
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Keywords | 複合水和発熱モデル / 混合セメント / 膨張混和材 |
Research Abstract |
提案モデルを任意のセメント系材料に対応させるためには,基礎となるポルトランドセメントにおける複合水和発熱モデルの精度向上が不可欠であることから,種々のポルトランドセメント種類に対応するようモデルの一般化を図り,一応の成果を得た.また,混合セメントの水和発熱モデルが開発途上にあることから,3成分系混合セメントのモデルの修正・改良を行い,普通ポルトランドセメントを母材とした3成分系の混合セメントにおいては,低水セメント比の配合においても適用できることとなった.ただし,低発熱型のポルトランドセメントと多量の混和材との組み合わせによる場合については,今後の検討が必要である.さらに,複合水和発熱モデルに膨張混和材の反応を組み入れるために,カルシウムサルホアルミネート系(アウイン系)の膨張混和材の水和発熱過程についての検討を行った。実験では,コンダクションカロリメータを用い,膨張材の混入率や養生温度を変化させた際の水和発熱速度を計測した。その結果,混合セメントにおいては,高炉スラグの添加がアウイン系膨張材の反応に著しく影響を及ぼすことが判明した.そして,この理由としては,スラグ中のアルミ分の存在によって,膨張性を発揮するエトリンガイトがモノサルフェートへ相変換していることが考えられた.膨張混和材の主反応は,石膏とアウインによるエトリンガイトの生成反応であることから,まず,セメント中の石膏とクリンカー鉱物中の間隙質によるエトリンガイトの生成反応を複合水和発熱モデルに組み入れた.ただし,実験から得られた知見を基に,膨張混和材の反応を複合水和発熱モデルに組み入れるには至らなかった。一連の研究の目的は,温度ひびわれ解析における効率的な材料選定に資することである。そこで,大型基礎マットの温度応力解析を例にとり,複合水和発熱モデルを適用した温度ひび割れ制御における粉体設計法の提案を行った.
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[Publications] 岸利治,前川宏一: "ポルトランドセメントの複合水和発熱モデル" 土木学会論文集. No.526 V-29. 97-109 (1995)
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[Publications] T.Kishi and K. Maekawa: "Hydration Heat Model for Blended Cement Including Slag and Fly Ash" Cairo 1st Int. Conf. on Concrete Structures. Vol.1. 4・10-4・19 (1996)
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[Publications] 所司大輔,岸利治: "高炉スラグを混入したセメントペースト中における膨張混和材の水和発熱特性" 土木学会第50回年次学術講演概要集. 第5部. 66-67 (1995)
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[Publications] 岸利治,加藤佳孝,前川宏一: "複合水和発熱モデルに基づく温度ひびわれ制御設計" コンクリート工学年次論文報告集. Vol.17 No.1. 1115-1120 (1995)