1995 Fiscal Year Annual Research Report
ニューラルネットワークによる浸透特性の評価システムの開発
Project/Area Number |
07750587
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹下 祐二 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (90188178)
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Keywords | ニューラルネットワーク / 浸透特性 / 原位置透水試験 / 地下水 |
Research Abstract |
地下水の挙動を定量的に把握するためには、透水係数や貯留係数といった地盤の浸透特性値を精度良く計測する必要があり、原位置透水試験法として揚水試験法や単孔式透水試験がよく実施されている。しかし、従来の理論的な原位置透水試験法の解析手法は、複雑な帯水層や試験条件の下では適用が困難であった。このような場合の解析法として、数値解析手法による逆解析手法が提案されているが、(1)非線形性の強い非定常計算を大量に行う必要があり、演算時間が過大になる。(2)複数パラメータの推定に際し、観測データのシミュレートが困難である。など、原位置透水試験法の解析手法として現場での適用には問題があった。 そこで、本研究では、原位置透水試験データの新しい工学的な解析手法として、階層型ニューラルネットワーク用いた浸透特性値の評価システムの開発を行った。ニューラルネットワークは人間の脳の思考パターンを手本にした、耐ノイズ性、学習・推論機能を有する情報処理システムであり、その汎用性、発展性、柔軟性により近年注目を集めているが、地盤工学の浸透問題に適用された例は見あたらない。本方法の利点は、以下の点にある。 (1)原位置透水試験における非定常水位計測データと対象領域の浸透特性値との離散的な非線形関係を事前にニューラルネットワークに学習させることができる。 (2)学習が終了したネットワークでは、計測された水位計測データのパターンを滑らかに内挿し、未学習の水位データ入力に対しても妥当な浸透特性値を簡単な積和演算を行うだけで極めて迅速に算定できる。 (3)各種の原位置透水試験データパターンを適宜学習させることでニューラルネットワークは成長し、適用範囲が拡大してゆくと期待される。 本方法を用いることにより、原位置透水試験データを現場にて迅速に解析し、従来、解析の困難であった複雑な帯水層条件下においても浸透特性を評価することが可能である。また、複数の異なるインパクトを順次帯水層に与えて、その反応を現場にて総合的に処理し、帯水層特性の工学的帯評価を行う原位置透水試験方法が検討された。
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Research Products
(1 results)