1995 Fiscal Year Annual Research Report
混合系生物膜内の硝化菌と他栄養性細菌の競合に関する研究
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07750632
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡部 聡 北海道大学, 工学部, 助手 (10253816)
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Keywords | 生物膜 / 硝化細菌 / 他栄養性細菌 / ポピュレーションダイナミックス |
Research Abstract |
本年度は前処理なしで生物膜を膜深さ方向に10-50μm間隔でスライスできるマイクロスライサ-^<TM>を用いて次の3点、(1)細菌密度分布と生物膜の処理特性の関係、(2)流入基質C:N比の硝化菌密度分布に与える影響、(3)In Situでの細菌活性密度分布の測定、について検討した。その結果以下のような知見が得られた。 (1)細菌密度分布と生物膜の処理特性の関係 生物膜内の全硝化細菌数は同じであっても、膜深さ方向の密度分布が異なれば生物膜へのアンモニアfluxが異なる結果を得た。つまり硝化細菌が膜深部に優占的に存在する場合(例えば有機物負荷が高い場合、C:N=1.5)のアンモニアfluxは生物膜全体に一様に分布する場合(例えばC:N=0,0.25)に比べて約25%低い値を示した。この結果より生物膜の基質消費速度などの動力学的係数を正確に求めるためには、生物膜内の菌体量のみでなくその膜深さ方向の密度分布も測定しなければならないと考えられる。 (2)流入基質C:N比の硝化菌密度分布に与える影響 流入基質C:N=1.5の場合、硝化細菌は膜深部に優占的に存在し膜表面では深部の1/100-1/1000程度しか存在しておらず膜深さ方向に険しい密度勾配を形成した。一方、C:N=0,0.25の場合においては、C:N=1.5で見られたような膜深さ方向の密度勾配は存在せず、生物膜全体に一様に分布していた。この結果からC:N=1.5の場合には、硝化細菌と他栄養性細菌が溶存酸素と空間をめぐって競合し、増殖速度の遅い硝化細菌は生物膜表面では存在することができず膜深部のみに存在可能であることが明らかとなった。 (3)In Situでの細菌活性密度分布の測定 テトラゾリウム塩還元法を用いて生物膜内の細菌活性密度分布を測定した。生物膜表面では活性菌は全細菌数の35±13%であり、膜深さ方向に徐々に減少し膜深部では15±4%となった。故に生物膜内には多くの不活性細菌が存在することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)