1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750636
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
神子 直之 横浜国立大学, 工学部, 講師 (70251345)
|
Keywords | 紫外線照射 / 大腸菌ファージ / 低圧紫外線ランプ / 中圧紫外線ランプ / 消毒 |
Research Abstract |
4W低圧紫外線ランプ(アーク長10cm)と40W中圧紫外線ランプ(アーク長4cm)の両者を用い、水の紫外線処理に関して複合的に検討を行った。両紫外線ランプの大きさはほぼ同じであるため、石英ガラス製の二重円筒型紫外線照射装置(外径5cm、被照射試料120mL)を作成し、循環式あるいは一過式の流水系で流動条件を揃えた紫外線処理を行った。殺菌紫外線と呼ばれる254mmを中心波長とする紫外線強度計による紫外線線量率は、 中圧が低圧の2倍程度であった。中圧ランプが、光化学反応に有効な紫外線だけでなく、可視光も放射しているためと考えられる。細菌ウイルス(大腸菌ファージQβ)の不活性化によって被照射液中の紫外線線量率を測定したところ滞留時間6秒で低圧、中圧ともほぼ同じ不活化率(2.81og)で、7500μW/cm2という数値が得られた。また、有機物への影響を調べるために、254nmの吸収が大きい二種の有機物、すなわち、生物分解性の低いフミン酸と生物分解性の高い酵母抽出物の溶液の照射を行った。両ランプを用いて実験を行った照射時間の範囲(条件により20分〜12時間)では、試料の吸光度は変化せず、試料が紫外線のエネルギーを吸収しているにもかかわらず、分散等の反応が進行しにくいことが明らかになった。また、紫外線照射を受けた有機物がラジカルを生じ、細菌の増殖を阻害するという報告例があるが、そのような効果も認められず、残効性の存在を示すことはできなかった。 以上の結果より、中圧ランプの電力消費量が低圧の10倍程度であるにもかかわらず、水の消毒を目的とする紫外線照射においては同等の不活化率しか得られないため、消費電力当たりの消毒処理において低圧ランプの方が有利であること、低圧、中圧両ランプとも消毒と比べて数千倍の紫外線を照射しても有機物分解はあまり期待できないことが明らかになった。有機物分解が無ければ副生成物を考慮する必要が無いため、塩素よりも安全性の高い消毒法として確立する価値があることが明らかになった。
|