1995 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート中の鉄筋腐食によるひび割れ進展に関する解析的検討
Project/Area Number |
07750668
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山田 義智 琉球大学, 工学部, 助手 (80220416)
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Keywords | ひび割れ / 塩化物イオン浸透 / 鉄筋腐食形態 / F.E.M |
Research Abstract |
本研究は,海岸沿いの塩害環境下に建設される鉄筋コンクリート構造物において,外部よりコンクリート中へ浸透してくる塩化物イオン(Cl^-)により,鉄筋が腐食する場合の鉄筋の腐食形態を考慮可能な,ひび割れ進展解析手法の開発を目的とした。 実構造物中の鉄筋腐食形態を明らかにするために,促進試験により,コンクリート中に外部環境下より浸透する塩化物イオン分布と同様な塩化物イオン分布を再現した。そして,鉄筋が存在する場合,鉄筋の塩化物イオン浸透面側(コンクリート表面側)で,鉄筋自身が塩化物イオンの内部浸透を遮蔽し,鉄筋が存在しない場合に比べ塩化物イオン濃度が高くなり,反対に,鉄筋の塩化物イオン浸透面側の裏側で,鉄筋が存在しない場合に比べ塩化物イオン濃度が低くなることを確認した。この現象については促進試験のみならず,F.E.Mを用いた解析によっても明らかにした。この結果,実構造物中の鉄筋の塩害による腐食形態が,塩化物イオン浸透面側で腐食量が多く,その裏面で腐食量が小さくなるという事実が間接的に示された。この鉄筋の腐食形態は,鉄筋腐食によるひび割れの進展に影響を与える。また,柱や梁の偶角部においては,2面方向からの塩化物イオンの浸透を受け,中央部鉄筋より腐食可能性が高くなることを示した。 腐食開始塩化物イオン濃度および腐食速度に関しては,本研究では知見を得ていない。従って,まだ十分に実際の鉄筋腐食によるひび割れ進展を表しているとは言い難いが,解析によって,かぶり厚さが小さいとコンクリートが剥離するようなモードのひび割れ進展を示すことや,かぶりが深いと鉄筋に沿った縦ひび割れモードになること等,実際に観察されるひび割れモードに近い結果を得た。
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