1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750673
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 明寛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60228020)
|
Keywords | 地下室 / 熱負荷計算 / 境界要素法 / 等角写像 / ラプラス変換 |
Research Abstract |
従来簡易計算法というと熱損失係数など定常特性だけに終始していた感が強いが、地下空間のように周囲に大きな熱容量を持っている空間を対象とした熱負荷計算では定常特性のみの把握では大きな誤差が生じる.また,簡易計算といえども計算機の普及によって手計算の範囲に拘る必要もなくなっている.そこで本研究では,動的熱負荷計算に用いることを目的として,地下壁の伝達関数の簡易式を作成し,1次元壁体と同程度の計算量で地下壁体の熱負荷を推定する手法を開発した.研究成果は以下のとおりである.(1)Schwarz-Christoffel変換により,Dirichlet境界条件における地下壁・床の表面熱流を解析的に算出し,更に地盤以外の熱抵抗が存在するRobin境界条件に関しては,Dirichlet境界条件の場合と熱の流れる経路(heat flow path)が同じであると仮定して地盤以外の熱抵抗を直列接続して単純化する方法を適用して,2次元定常の場合の解析解を導いた.(2)その結果を,同じく2次元計算から導かれたISO draftの式と比較し,地下壁熱貫流率ではISO draftの式は解析解より小さいこと,地下床熱貫流率においてはISO draftの式では無視されている壁仕様の影響が大きいことを指摘した.(3)3次元の境界要素法により,Laplaceパラメータ(正の実数),地下室寸法,地盤の熱伝導率・熱拡散率,地下壁・床熱抵抗をパラメータとしてケーススタディを行い,それぞれの伝達関数を算出した.この結果をもとに2次元解析解を修正する形で3次元定常熱応答の近似式を提案した.非定常特性で,吸熱応答に関してはLaplaceパラメータが大きくなるほど,壁などを単なる熱抵抗とみなせなくなるので,1次元半無限体の解析解と精算値との残差に着目し,この残差応答と貫流応答をそれぞれ熱貫流率で規準化したものに対して近似式を作成した.
|