1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750687
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
山西 弘城 核融合科学研究所, 安全管理センター, 助手 (10240061)
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Keywords | ラドン / ラドン散逸率 / コンクリート含水率 / 湿度依存性 |
Research Abstract |
本研究は、コンクリートからのラドン散逸率が湿度環境によって変化する様子を捉えるものである。 作成日と組成の同じコンクリート片(15cm径×5cm厚)3個について、まず、質量が一定値に落ち着くまで105℃で乾燥させた。その後、ラドン散逸面を限定するため、側面をプラスチックフィルムで巻いて隙間を接着剤で埋めた。ラドン散逸率測定は、検討の結果、コンクリート片を容器にいれて一定時間蓄積したラドンを電離箱に捕集し測定する方式とした。 3つのデシケータにそれぞれコンクリート片を入れ、除湿空気、加湿空気、これらの混合空気をそれぞれ約1リットル/分で流した。湿度をコントロールしやすいように曝露系全体を恒温器に入れ、30℃に制御した。各デシケータの温湿度はセンサによって連続測定している。湿度は、絶対湿度で3、10、25g/m^3の3種類に設定した。これらは乾燥状態(対照)、冬場、夏場の湿度に対応する。 曝露開始から1ヵ月後のコンクリート片の含水率はそれぞれ0.1、0.6、1.1%であった。含水率は乾燥重量との重量差を乾燥重量で除した値とした。一方でラドン散逸率はそれぞれ0.26、0.28、0.54Bq/(m^2・h)であった。曝露実験はまだ途中段階であるが、湿度環境の差異によるコンクリート片からのラドン散逸率の変化を観測できた。この傾向は、低換気率室内における空気中ラドン濃度の季節変化の測定結果とほぼ一致している。夏場は冬場の2倍程度の濃度になる。著者らは、この要因は壁からのラドン散逸率の季節変動であり、それにはコンクリート中の水分が関与していると予想している。本研究の現段階の測定結果はこれを支持している。今後、この曝露実験を継続し、長期間曝露の効果を確認していきたい。
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