1995 Fiscal Year Annual Research Report
内部転換電子法メスバウァー効果によるFe系金属多層膜の超微細磁気構造の解析
Project/Area Number |
07750725
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土井 正晶 名古屋大学, 工学部, 助手 (10237167)
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Keywords | メスバウァー効果 / 内部転換電子法 / 金属人工格子 / 内部磁場 / 超微細パラメータ / 磁気モーメント / 磁気体積効果 / fcc-Fe / Cu多層膜 |
Research Abstract |
分子線エピタキシ-(MBE)装置を使用してfcc-Fe人工格子を作製した。Cu(001)単結晶基板上に高純度CuとFe原子を交互に20層積層させることによってエピタキシャル多層膜を作製した。Feに関してはメスバウァースペクトルの分解能を上げるために^<57>Feをドープした蒸着源を用いた。X線回析を使って膜の評価(結晶構造、人工周期性、歪量など)を行った。この多層膜の磁気測定をVSMおよびSQUIDを用いて測定し、平均の飽和磁化を測定した。メスバウァー効果の測定は従来の透過型の測定系では基板が厚いためにスペクトルを得ることが困難となるので内部転換電子(conversion electron)を検出する反射型の測定系を用いた。メスバウァースペクトルは界面と内部のFe成分に分けて非線形の最小自乗法によるフィッテイングにより解析した。この解析結果より得た各成分の超微細パラメーター(内部磁場、アイソマ-シフト、四重極分裂)とスペクトルの強度比および体積分率よりFe層中のFe原子の磁気モーメントの大きさおよび磁気構造を明らかにした。その結果、試料中に内部磁場が320kOeのhigh spin stateとO kOeの low spin stateの2相が共存していることがわかった。fcc-Feのhigh spin stateと low spin stateはその原子容に依存し、磁気体積効果に起因すると考えられ、Cuと同じ原子容とそれより小さい原子容のFeが共存していることになる。これら2相の体積分率は基板表面の平坦性に依存していると考えられるため、基板平坦性との関係を検討していく必要がある。また磁化測定の結果から磁化の温度変化も検討する必要があることがわかったため、低温(4.2K)でのCEM測定を行う必要がある。今後、低温でのCEM測定を検討し、各成分のFe原子の磁気モーメントの大きさおよび磁気構造をさらに明らかにする予定である。
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[Publications] Guido Eilers: "Preparation of a Nd-Fe-B Magnet Using High Frequency Magnetic Field" Japanese Journal of Applied Physics. 34. 6053-6055 (1995)
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[Publications] 土井正晶: "I.B.S.法による窒化Gd薄膜の作製と磁気特性" 日本応用磁気学会誌. 印刷中.
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[Publications] 中林久直: "〔Fe(Co)/Cu〕多層膜の膜構造と磁気抵抗効果" 日本応用磁気学会誌. 印刷中.