1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750788
|
Research Institution | Research Institute for Electric and Magnetic Materials |
Principal Investigator |
渡辺 雅人 財団法人電気磁気材料研究所, 附置研究所・薄膜材料グループ, 研究員 (40249975)
|
Keywords | 交換スプリング磁石 / 多層膜 / 鉄-白金合金 |
Research Abstract |
容易軸を揃えた異方性交換スプリング磁石は、従来の磁石材料を遥かに凌駕する最大エネルギー積が得られるとの予測がなされている。本研究では軟磁性層としてFe-Coを、硬磁性層としてFePtを組み合わせたFePt/Fe(-Co)を、エピタキシャル多層膜を作製し、交換スプリング磁石としての可能性を探る。 (1)FePtエピタキシャル単層膜 高周波マグネトロンスパッタ法により、MgO(100)基板上にFe(10Å)シ-ド層とPt(200Å〜10000Å)バッファ層を成膜した後にFePt層を成長させた。膜面垂直にFePt層がほぼ100%c軸配向しており、ロッキングカーブの半値幅が約0.7°で結晶性も良好である。全ての試料は膜面垂直が磁化容易軸である垂直磁化膜であり、Ptバッファ層厚の増大とともに保磁力・角型性の大幅な改善が見られ、希土類系永久磁石に匹敵する約30MG・Oeの(B・H)_<max>が得られた。600nmの波長で約0.6°の磁気カ-回転角が得られ、光磁気記録材料としての可能性も期待される。 (2)FePt/Feエピタキシャル多層膜 単層膜と同様の手法で多層膜を作製した。単層膜と同様にFePt層がc軸配向したエピタキシャル膜が得られ、低角X線回折から良好な多層周期性も確認された。層厚比FePt/Fe>1の場合には、膜面垂直が磁化容易軸の垂直磁化膜が得られる。FePt/Fe>1の場合には、FePt層とFe層の磁化が独立に挙動するような特徴はヒステリシスループに見られず、交換結合しているものと考えられる。ヒステリシスループの形状は、角型性と保磁力に劣るstrip磁区に特有のものでる。バッファ層による角型性・保磁力の改善を試みたが、単層膜の場合にみられたような効果は得られなかった。Arガス圧等によって組織制御を行い、高保磁力を発現させることが今後の課題である。
|