1995 Fiscal Year Annual Research Report
X線ミクロおよびマクロ応力による溶射材のき裂発生,進展機構の解明
Project/Area Number |
07750802
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
秋田 貢一 東京都立大学, 工学部, 助手 (10231820)
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Keywords | 溶射皮膜 / 残留応力 / X線応力測定 / アコースティックエミッション / き裂発生 / ラメラ / 微視的残留応力 |
Research Abstract |
溶射皮膜の室温大気中におけるき裂発生,進展メカニズムを,以下のように検討した. 1.ミクロおよびマクロ残留応力 溶射皮膜では,巨視的残留応力が低い場合でも,微視的残留応力が高い場合が認められた.これは,ラメラ構造やラメラ同士の部分的結合といった溶射皮膜特有の微視的構造のためである. 2.静的負荷に対するX線的応力変化 4点曲げによって溶射皮膜に段階的にひずみを加え,X線により各負荷応力段階におけるミクロ,マクロ応力を測定した.セラミックス系の皮膜では,負荷ひずみとマクロ応力との間に直線関係が認められないものがあった.また,その場合でも負荷ひずみとミクロ応力との間に直線関係が認められる場合がある. 3.負荷時の微視き裂発生過程 4点曲げ負荷中にアコースティックエミッション(AE)計測,および負荷中のSEM観察を行った.溶射皮膜では,極低レベルの負荷ひずみにおいてAEが発生する.これらのAE信号は,ラメラ界面におけるすべりおよびき裂発生と対応するものと考えられる.また,皮膜内にマクロ圧縮残留応力が発生している場合,あるひずみレベルからAEが急増する傾向がある.これは,負荷引張ひずみを圧縮残留応力がキャンセルするためである. 4.溶射材のき裂発生,進展メカニズムの検討 溶射皮膜内では,ラメラ界面においてすべりとき裂発生が生じる.また,溶射皮膜中の残留応力が,き裂発生,進展に関与する.ただし,これらの挙動の定量的評価は今後の課題である.
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Research Products
(2 results)