1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750805
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大竹 晃浩 早稲田大学, 理工学部, 助手 (30267398)
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Keywords | 化合物半導体表面 / 反射高速電子回折法 / 表面構造解析 / 薄膜成長動的過程 |
Research Abstract |
III-V族化合物半導体の一つであるInSbの{111}A,B-(2×2)表面の原子配列としては、それぞれ、In-vacancy bucklingモデル((111)A面)および、Sb-trimerモデル((111)B面)が広く認められている。しかし、その表面垂直方向に関する原子座標は未だ確定されていない。そこで、本研究では、反射高速電子回折法(reflection high-energy electron diffraction;RHEED)を用い、その電子線入射方位を晶帯軸方向から数度ずらすことによって(この条件を一波条件という)、表面平行方向に関する動力学的回折効果を消し、両表面の垂直方向の原子座標に関する情報を得ることを狙った。その結果、(111)A表面では最表面のIn原子層が約0.8Å程度バルク側へ変位していることが、(111)B表面に対しては(i)Sb-trimerが(111)B基板から約2.6Åの高さに位置していること、(ii)Sb-trimerの直下の原子が表面垂直方向に大きく変位していること(約1.2Å)が明らかとなった. 次に、原子配列の確定したInSb{111}A,B-(2×2)表面上でのα-Sn成長の動的過程をRHEED強度振動法を用いて評価した。InSb(111)A上では、Snは、基板のIn-vacancy buckling構造のIn-vacancyサイトに優先的に吸着した後、二原子層(BL)単位で層状に成長した。一方、InSb(111)B上でのSnは、Sn膜厚が6原子層以下のときには単原子層(ML)周期で、それ以上の膜厚ではBL周期で成長した。このSnのML周期の成長は、基板のInSb(111)BからSn成長最表面へ偏析したSbがサーファクタント(表面活性剤)として働き、Snの表面拡散を抑制したために起こったことが明らかとなった。
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