1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750821
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松木 一弘 広島大学, 工学部, 助手 (30253115)
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Keywords | WC-Co超硬合金 / MoS_2 / 放電焼結 / 固体潤滑剤 / シャルピー衝撃特性 / 摩擦 / 摩耗 / 硬度 |
Research Abstract |
WC-Co系超硬合金の製造手法として、1623〜1723K程度の高温中に6ks間ていど圧粉体を保持する真空焼結法が用いられている。しかし、固体潤滑剤であるMoS_2を真空中で加熱するとMo_2S_3等の低級硫化物を生成するため、従来の焼結法によって自己潤滑性を有するMoS_2含有のWC-Co合金を作製することは極めて困難である。そこで、放電焼結法をMoS_2添加(0〜20vol.%)のWC-22mol%Co合金の製造に適応し、その時のプロセス因子を制御することにより焼結体の組織をも制御しつつ、得られた焼結体の機械的特性を調べることを目的とした。 放電焼結法では、連続通電における初期の焼結速度がホットプレス法などに比べて非常に速く、MoS_2の熱分解が開始する温度において既に高密度の焼結体が得られているため、MoS_2が気相反応に関与せず焼結体中に残留した。なお、連続通電中のプロセス因子の制御によりMoS_2の添加量、粒径、分布状況の異なった真密度に近い焼結体を得ることができた。得られた焼結体を用いて、硬度測定、シャルピー衝撃試験およびリング(相手材)-オン-ディスク(試料)形式による摩耗試験を行なった。ここで、摩耗試験における相手材はWC-22Co焼結材およびSUS304溶製材であり、試料は0〜20vol.%のMoS_2を添加した超硬合金の放電焼結材である。焼結体の硬度とシャルピー衝撃値はMoS_2量と共に減少した。なお,その減少率は0〜5vol.%MoS_2の領域で最も顕著であった。また、摩耗特性は試料の硬度、潤滑性(特にMoS_2の存在)さらに焼結状態に依存して変化した。相手材によらず動摩擦係数はMoS_2量の増加と共に減少し、特に、その低下率は初期摩耗時において顕著であった。試料の継手減量はMoS_2量の増加と共に増加し、相手材の摩耗減量はMoS_2量の増加と共に減少の傾向を示した。
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