1995 Fiscal Year Annual Research Report
担持ルテニウムカルボニルを触媒前駆体とする深度脱硫触媒の開発 アルカリ金属の添加効果及び担体の効果
Project/Area Number |
07750860
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
石原 篤 東京農工大学, 工学部, 講師 (60212908)
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Keywords | 水素化脱硫反応 / ルテニウムカルボニル / アルカリ金属水酸化物 / ジベンゾチオフェン / アルミナ / 担体触媒 / 担持の効果 |
Research Abstract |
硫化したアルミナ担持ルテニウム触媒を用いたジベンオチオフェン(DBT)の水素化脱硫反応において、アルカリ金属水酸化物の触媒活性および生成物選択性に及ぼす影響を検討した。アルミナ担持ルテニウムカルボニルから得られる触媒へ水酸化ナトリウムを加えると、DBTの転化率は41%から71%に著しく向上した。この触媒系では、ルテニウムカルボニルが予め水酸化ナトリウムと反応し、ルテニウムのヒドリド錯体Na[HR_<u3>(CO)_<11>]が生成した後、アルミナ上に担持することが高活性を得るために重要であることが分かった。RuCl_3、Ru(acac)_3(acac=アセチルアセトナート)及びRu_3(CO)_<12>を水酸化セシウムと反応させアルミナに担持させた時、活性はRuCl_3-CsOH/Al_2O_3〈Ru(acac)_3-CsOH/Al_2O_3〈Ru_3(CO)_<12>-3CsOH/Al_2O_3の順に増加した。アルミナ担持ルテニウムカルボニル系触媒において、アルカリ金属水酸化物の添加量を増加させた時、DBTの転化率は向上し、M/Ru=2(M=NaあるいはCs)の時最大値を示した。さらにアルカリ金属を添加すると活性は低下した。Ru_3(CO)_<12>-nCsOH/Al_2O_3系触媒において、ビフェニルが選択的に生成した。これらの現象を説明するためにNOの化学吸着及びX線光電子(XP)スペクトルを脱硫反応前と後の触媒について測定した。Ru_3(CO)_<12>/Al_2O_3へのセシウムの添加はNOの化学吸着量を増加させた。このことは、触媒には硫化後もまだ多くの配位不飽和サイトが有ることを示した。XPスペクトルより、適当な量のセシウムを加えると水素加圧下でさえアルミナ上に硫化ルテニウムが安定に存在することが分かった。Ru_3(CO)_<12>-6CsOH/Al_2O_3より得られる触媒は、Co-Mo/Al_2O_3に匹敵する触媒活性を示した。SiO_2及びSiO_2-Al_2O_3を用いた場合、Al_2O_3同様、アルカリ金属の添加量の増加に伴い活性は向上し、DBTの転化率の最大値を示したが、その値は、Al_2O_3〉SiO_2〉SiO_2-Al_2O_3の順に低下した。
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