1995 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質受容膜蛋白質ATP受容体の2次元結晶化
Project/Area Number |
07750871
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
坂田 和実 岩手大学, 工学部, 助手 (80261163)
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Keywords | 神経伝達物質 / 受容体 / 膜蛋白質 / Gタンパク質 / 大腸菌 / バキュロウィルス / 大量発現 / 構造解析 |
Research Abstract |
本申請研究において、今年度はバキュロウイルスを用いた系での大量発現系の作成を目標とした。その為の手順を以下の通りとした;1)大腸菌による抗原の作成。2)大腸菌によって発現させた抗原を用いた抗体の作成。3)バキュロウイルスを用いた発現系の構築。4)バキュロウイルスでの発現条件の検討。 上記の内、まず発現の確認のために用いる抗体の作成を試みた。目的となるATP受容体は生体中で非常に微量しか存在せず、生体中からの精製は非常に困難である。このため大腸菌で発現させたATP受容体を抗原に用いる方針を取った。 大腸菌中での発現に際して、全長のATP受容体だけではなく、長さを短縮させた変異体を合成させることも試みた。大腸菌中では外来蛋白質の発現量が非常に少ない場合があるが、その長さをC端側から短縮していくと、短縮に連れ発現量が増加することが報告されているからである。このことから、抗原として短縮したものを合成させることも試みた。推定される膜貫通ヘリックスの数を単位として短縮を行った。即ち、ヘリックスの数を7本(全長)から3本まで変化させた。この時のDNAの改変にはPCR法を用いた。 改変したDNAを発現ベクターpSE420(Invitrogen社)に組み込み、大腸菌JM109(ニッポンジーン社)に導入した。この大腸菌を培養し、IPTGにより蛋白質発現を誘導した。しかしながら、顕著な発現を確認できなかった。 このため、今後以下の方法を試す予定である。1)大腸菌のマルトース結合蛋白質をN端に融合させた形での発現。2)発現ベクターの変更。3)ホストの変更。これらの内、1からは発現量の増加だけではなく、マルトース結合蛋白質を吸着するカラム担体の利用により、その後の蛋白質の精製が簡便にできることも期待される。 上記発現系の作成と平行して、ATP受容体の機能を解析するため電気生理実験も行った。これにより得られた結果を国際神経化学会において発表した。
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