1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750936
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
赤染 元浩 千葉大学, 工学部, 助手 (10261934)
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Keywords | バイオミメティック / ジペプチド / フェニルグリシン / 不斉水素化反応 / 光学活性アルコール |
Research Abstract |
本研究では、酵素反応をつかさどるタンパク質のモデルとして光学活性ジペプチド分子を用い、そのβシート構造の包接空孔に分子を取り込むことを利用した不斉合成反応を開発した。 (1)ジペプチドの分子認識:(R)-フェニルグリシル-(R)-フェニルグリシン(以下ジペプチド1)が、1,2-ジメトキシベンゼン誘導体を定量的に包接することを見出した。その単結晶X線構造解析から、その2つのメトキシル酸素とジペプチドのアミノ基の間の3中心水素結合により、ゲスト分子が包接されることを解明した。また、この包接は結晶化のプロセスを必要とせず、水中に懸濁させた固体状態の1についても、1,2-ジメトキシベンゼン誘導体を選択的に包接する。この1,2-ジメトキシベンゼン骨格はアルカロイド等に見られ、今後ペプチド類を用いるアルカロイドの分子認識及びその合成反応への応用が期待できる。 (2)ジペプチド不斉場を用いる不斉水素化反応:(1)の結果に基づいて、ジメトキシベンゼン骨格を有するケトンである3,4-ジメトキシアセトフェノンについて、ジペプチド1と水素化ホウ素ナトリウムを用いた不斉水素化反応を検討した。3,4-ジメトキシアセトフェノンを、固体状態の1及び水素化ホウ素ナトリウムとともに乳鉢で混合し、数日間放置した。その後、混合固体を有機溶媒で洗浄し、洗浄液より水素化生成物であるアルコールが37%e.e.の光学純度で、さらに、包接固体中からは90%e.e.と高い光学純度のアルコールが得られた。本反応は、ジペプチド1不斉場とする新規なバイオミメティック不斉水素化反応と考えられる。 (3)新規不斉触媒反応の開発:今後、他の典型金属試剤や遷移金属錯体との複合化及びその不斉触媒反応へ展開する。本研究により新規バイオミメティック不斉錯体触媒反応の開発のための基礎的データが得られたと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Akazome: "Palladium complex-catalyzed intermolecular reductive N-heterocyclization:novel synthesis of quinazoline derivatives from 2-nitrobenzaldehyde or nitroketones" J.Organomet.Chem.494. 229-233 (1995)
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[Publications] K.Ogura: "Efficient 1,2-Asymmetric Induction in Radical Reactions:Stereoselective Radical Addition to 3-Hydroxy-1-(methylthio)-1-(p-tolylsulfonyl)-1-alkenes" J.Org.Chem.60. 1106-1107 (1995)
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[Publications] A.Kayano: "Novel Synthesis of γ-Lactones Starting from β,γ-Unsaturated Carboxylic Esters" Bull.Chem.Soc.Jpn.68. 3599-3609 (1995)
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[Publications] Y.Watanabe: "Ruthenium Complex-Catalyzed Reductive N-Heterocyclization:Novel Synthesis of 1-Pyrroline Derivatives from γ-Nitrocarbonyl compounds" J.Org.Chem.60. 8328-8329 (1995)