1995 Fiscal Year Annual Research Report
一次元共役系高分子のフェムト秒パルス励起による三次非線形光学効果の増大・制御
Project/Area Number |
07750992
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂口 浩司 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (30211931)
|
Keywords | 非線形光学 / 超高速現象 / 四光波混合 |
Research Abstract |
三次非線形光学効果はある種の物質の光に対する電子応答が光強度の3乗非線形に比例して大きくなる現象であり、この効果を利用して光演算や全光学スイッチなどの現象が可能となることから将来の光情報処理の基本原理として期待されている。しかしながらこれまでに報告されてきた三次非線形光学材料の性能指数は、実用にかなう光素子に要求される値に遠く及ばないのが現状である。そこで本研究では、これまで報告された三次非線形光学材料の中で大きな感受率を持つ一次元共役系高分子をレーザー光で励起するとフェムト(千兆分の一)秒の超高速時間内で励起子が生成し、光学遷移や電子的性質が大きく変化することを利用して、三次非線形光学効果を増大・制御することを目的とした。試料としてポリアルキルチオフェンの溶液を用い、2本の800nmのTi:Sフェムト秒光パルスを照射して三次非線形光学効果である縮体四光波混合測定系を構成した。更にこの系に、400nmのフェムト秒光パルスを照射することによる四光波混合強度の変化を観測した。光励起により、四光波混合強度が大きく増強することが分かった。この光励起増強現象に及ぼす、2本のプローブ光間の遅延時間依存性や励起光と2本のプローブ光との遅延時間依存性の測定から、光励起により生じる励起子の生成により大きな三次非線形光学効果が発現することが示唆された。また、この光励起増強効果は、入射光パルスの200フェムト秒以下の超高速で応答することが明らかになり、共役π電子の電子応答により発現することが示唆された。
|
Research Products
(1 results)