1995 Fiscal Year Annual Research Report
航空宇宙用複合材料の損傷許容設計のための熱残留応力の定量評価と損傷進展
Project/Area Number |
07751010
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
荻原 慎二 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70266906)
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Keywords | 複合材料 / 損傷許容設計 / 熱残留応力 / 微視的損傷 / トランスバースクラック / 層間はく離 / CFRP / クロスプライ積層板 |
Research Abstract |
CFRP積層板中の各層に発生する熱残留応力の定量評価を行うため、対称に積層されたクロスプライ積層板の片側の0°層を機械加工により削除し、非対称積層板として、その熱残留応力によるたわみ量を測定した。本研究ではたわみ量の温度変化を測定するため、ガラス窓のついた温度槽を作成した。たわみ量はガラス窓を通して非接触電子光学式変位計とパーソナルコンピュータを用いたデータ取得システムにより測定した。たわみの温度変化を測定する目的は、各層の熱膨張係数の温度変化、応力フリー温度(熱残留応力がゼロとなる温度)を求めるためである。さらに、0°層と90°層の層厚比の異なる非対称積層板を用いることにより、熱残留応力の板厚方向の分布を測定することができた。 上記の熱残留応力の定量評価の結果とCFRPクロスプライ積層板の破壊挙動に及ぼす熱残留応力の影響を検討するため、様々な温度下でのCFRP積層板の破壊過程の微視的観察を行った。すなわち、0°層と90°層の層厚比の異なる数種のクロスプライ積層板について引張試験を行い、微視的損傷進展の定量的評価を行った。微視的損傷としては、90°層中に発生するトランスバースクラック、及びトランスバースクラック先端から発生・進展する0°/90°層間のはく離に着目し、それらの進展を積層板応力の関数として定量的に測定した。その測定方法としては、試験前に試験片の端面を研磨により鏡面仕上げし、引張試験中に破断までに数回試験機を止め、試験片端面のレプリカをとることにより行った。この実験により、微視的損傷進展特性に及ぼす温度依存性が明らかとなった。 以上2つの実験から得られた結果を結び付けることにより、熱残留応力の効果を取り入れた微視的損傷進展モデルを構築した。温度変化による微視的損傷進展特性の変化は単に熱残留応力の変化のみに起因するわけではないが、本研究により熱残留応力の役割が定量的に評価でき、それにより、より現実的なモデル化が可能となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Takeda and S.Ogihara: "In-Situ Observation and Probabilistic Prediction of Microscopic Failure Process in CFRP Cross-Ply Laminates" Composites Science and Technology. 52. 183-195 (1994)
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[Publications] N.Takeda and S.Ogihara: "Inihation and Growth of Delaminetion from the Tips of Transverse Cracks in CFRP Cross-Ply Laminates" Composites Science and Technology. 52. 309-318 (1994)
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[Publications] S.Ogihara and N.Takeda: "Interaction between Transverse Cracks and Delaminetion during Damage Progression CFRP Cross-Ply Laminates" Composites Science and Technology. 54. 395-404 (1995)
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[Publications] 武田展雄,新妻秀規,荻原慎二,小林 昭: "CFRPクロスプライ積層板における熱残留応力の実験的評価" 材料システム. 14. 73-78 (1995)