1995 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ前胸腺刺激ホルモン分泌におけるリン酸化タンパク質の解析
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07760054
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白井 康仁 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (60263399)
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Keywords | 神経ペプチド / カイコ前胸腺刺激ホルモン / ペプチド分泌 / 蛋白質リン酸化 / 低分子量G蛋白質 |
Research Abstract |
アセチルコリンが誘起する前胸腺刺激ホルモン分泌(PTTH)において、特異的にリン酸化される3種(32k,25k21k)の蛋白質の機能を解明する研究の一環として、カイコ脳-側心体-アラタ体複合器官(Br-CC-CA)における低分子量G蛋白質を検索し、その分子特性並びに細胞内局在性をリン酸化蛋白質のそれと比較した。 その結果、Br-CC-CA中に3種(28k,25k,21k)の低分子量G蛋白質を見いだした。このうち、カイコ25kG蛋白質は、哺乳類の低分子量G蛋白質であるRab3Aに対する抗体に交叉性を示したが、他のカイコ低分子量G蛋白質は、哺乳類の低分子量G蛋白質に対するどの抗体とも交叉性を示さなかった。ついで、Rab3A抗体を用いてカイコ25kG蛋白質の組織局在性を調べたところ、脳及び食道下神経節に多量に存在している事が明らかになった。この知見は、Rab3Aが哺乳類において神経特異的に発現している事実と類似していた。一方、PTTH分泌においてリン酸化される蛋白質とカイコ低分子量G蛋白質の細胞内局在性を調べたところ、共に側心体一アラタ体より調製した粗シナプトソーム画分に存在した。 以上、分子量並びにその細胞内局在性が一致することから、PTTH分泌においてリン酸化される25kリン酸化蛋白質はRab3Aと相同性を有する低分子量G蛋白質であり、21kリン酸化蛋白質は新規な低分子量G蛋白質であることが示唆された。現在、2次元電気泳動を駆使して、両リン酸化蛋白質が真に低分子量G蛋白質であるか否かを詳細に検討している。また、32kリン酸化蛋白質に機能については、今後の研究課題として残された。
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