1995 Fiscal Year Annual Research Report
菌体成分測定による植物根圏の細菌および糸状菌バイオマスの迅速測定法の開発
Project/Area Number |
07760060
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一憲 千葉大学, 園芸学部, 助手 (10225807)
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Keywords | リポ多糖 / エルゴステロール / 細菌バイオマス / 糸状菌バイオマス / 微生物バイオマス / 植物根圏 |
Research Abstract |
近年、土壌中の微生物生菌体(バイオマス)中の窒素・リンが植物養分の貯蔵源/供給源として機能していることが明らかになりつつある。このバイオマスの機能が最大限に発揮される場所は植物根の近傍(植物根圏)であると考えられるが、根圏部位は少量でありまた植物細胞の影響を受けることから従来のクロロホルムくん蒸法等のバイオマス測定法が適用しにくい。そこで本研究では植物根圏(根内および根面)の微生物バイオマスの迅速かつ信頼性に優れた測定方法の開発を目的とし細菌および糸状菌の菌体に特異的に存在する成分、すなわち細菌はリポ多糖(細胞壁外層に存在)、糸状菌はエルゴステロール(細胞膜に存在)の検出・定量法の確立を目指した。 1.人工気象器内でトウモロコシ(スノ-デント)を3週間栽培し、経時的に植物根試料を得て以下の実験に供試した。 2.リポ多糖の測定:植物根を注射用蒸留水中で振盪し根面細菌の懸濁液を得、この試料中のリポ多糖をカブトガニプロテアーゼを用いたリムルス法を使って測定することを試みた。その結果、本法でリポ多糖が検出可能であることが見出され、さらにリポ多糖量は顕微鏡で計数した全菌数と高い相関関係を有することが判明した。 3.エルゴステロールの測定:土壌中のエルゴステロールの定量に用いられている方法を根圏試料(根面および根内)に適用することを試みた。すなわち試料中のエルゴステロールを熱エタノールで抽出し、鹸化後さらにヘキサン抽出と乾固を行い、メタノールに再溶解後、高速液体クロマトグラフィーを用いてエルゴステロールを定量した。その結果、本法で根圏試料中のエルゴステロールの検出および定量が可能であることを判明した。 以上の結果からリポ多糖とエルゴステロールの測定は、それぞれ根圏における細菌および糸状菌のバイオマス測定法として優れていることが判明し、本研究の目的を達成することができた。
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