1995 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌のリグニン分解酵素系の分子生物学的解析と自律複製型ベクターの開発
Project/Area Number |
07760086
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 与一 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (70252517)
|
Keywords | 担子菌 / リグニン分解 / ベクター / フルトラニル / マーカー遺伝子 |
Research Abstract |
1. MnP遺伝子のクローニング 種々のペルオキシダーゼ間で、局部的に保存されているアミノ酸配列を元に混合プライマーを合成し、ヒラタケの染色体DNAを鋳型にしてPCRを行なって、特異的に増幅されるDNA断片をクローニングした。塩基配列を決定したところ、P. chrysosporiumのMnP遺伝子とアミノ酸レベルで60%程度の相同性を持ち、互いに酷似した複数のクローンが得られた。これらのクローンは、ヒラタケのMnP酵素群の遺伝子ファミリーであると考えられる。 これらのクローンのうち代表的な1つのクローンをPOP1と名付け、ヒラタケゲノムライブラリーからサザンハイブリダイゼーションによりスクリーニングを行なったところ、約15000個の1クローンの中から、56個の陽性クローンを得た。これは単核体あたり、約10個の遺伝子ファミリーが存在していることを示すものである。現在、塩基配列の決定を行いN末端のアミノ酸配列情報により、MnPアイソザイムとの照合を行なっている。 2.高形質転換効率ベクターの構築 担子菌類で有用なベクターの構築の際に必須の前提条件となる、優性のマーカー遺伝子を単離するため、種々の薬剤に対する耐性を調査した結果、カルボキシアミド系の抗菌剤フルトラニルが野生型のヒラタケの成長を特異的に阻害することが明かになった。そこで突然変異処理を行うことによってフルトラニルに耐性の優性の遺伝形質を与える変異株を多数単離し、その性質を調べた。 それらの中で耐性度の強かったMA206株から抽出した全DNAを用いて野生型のヒラタケを形質転換処理したところ、薬剤添加培地上で成育可能な複数のコロニーが単離された。現在、これらのクローンのDNAレベルでの解析を行っている。
|