1995 Fiscal Year Annual Research Report
生理現象に基づいた植物ホルモンの局在性に関する免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
07760115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 正敏 東京大学, 農学部, 助手 (50237278)
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Keywords | 植物ホルモン / オーキシン / インドール酢酸 / ニトロセルロース膜 |
Research Abstract |
1.研究目的 高等植物の成長・分化に必須で、茎部における屈光性や背地性など種々の生理現象に重要なはたらきをしていると考えられているオーキシンを研究対象とし、その極性移動や特有の生理現象とその動態との関連性を免疫組織化学的に解析することを目的とする。特に組織切片の調製時における微細構造の保存に関して、氷晶形成が少なく状態の良い薄切片の調製を検討する。 2.研究方法および成果 オーキシンの固定化効率および検出限界の検討を初めに行うため、ニトロセルロース膜を用いたモデル系を用いて最適化を図った。各種キャリアータンパク質を吸着させた膜上でパラホルムアルデヒド等の固定試薬の蒸気による固定化、免疫染色・増感反応によりおよそ数ナノグラムレベルのインドール酢酸が認識可能となった.続いて、アズキ幼植物体の上胚軸基部を用いて外生的にさまざまな濃度のインドール酢酸を吸収させ、細切し、急速凍結・凍結乾燥した後、気化させたパラホルムアルデヒド蒸気およびイソプロピルカルボジイミド蒸気等の固定化試薬を処理してパラフィン包埋した。これより調製された薄切片を染色することにより、固定用ガスの組成・固定時間・温度条件などの検討を行った。この結果、正常血清と比較して抗オーキシン抗血清を用いた染色の場合に有意な染色像が認められたものの、非特異的染色が強く、新たに改良すべき問題が生じた。そこで、ブロッキング剤の使用方法や用いる切片の厚さ、発色方法について各種の検討を行った。多少の改善は認められたが、現段階においてもなお正常血清を用いてもかなりの非特異的な染色が残っており、更なる改善策を講じる必要がある。また、組織の凍結乾燥において氷晶形成を抑えるためには、乾燥中の環境を氷点下マイナス15℃から20℃の間で継続して維持することが有効で、これ以下の温度環境では乾燥に多くの時間を費やさねばならず実用的では無いことが明らかとなった。これらの基礎技術は多くの免疫組織化学に応用できると考えている.
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