1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性抗生物質ダイネミシンAをモデルにしたDNA切断分子の設計と化学合成研究
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07760116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 俊夫 名古屋大学, 農学部, 助手 (90208158)
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Keywords | ダイネミシンA / 光学活性体 / Diels-Alder反応 / DNA切断 / 抗腫瘍活性 / 立体選択的合成 / 芳香化反応 / 環状エンジイン |
Research Abstract |
ダイネミシンAは現在知られている最も強力な抗腫瘍性抗生物質の1つである。この強力な活性は、エンジイン部分の芳香化反応(Bergman反応)によって生成した炭素ラジカルがDNAを酸化的に切断することによる。本研究では、ダイネミシンAのアントラキノン部分の化学合成法を確立し、連続した不斉炭素が存在するCDE環部分の化学合成法、及びモデル化合物の生物活性について検討した。 ダイネミシンAのアントラキノン骨格は、3-ピリジルアクリル酸から合成したD環を含むジエンとブロモナフトキノンとのDiels-Alder反応、芳香化反応によって構築した。ついでジエン由来の余分な炭素をBaeyer-Villiger反応で除去し、ジヒドロキノン体として目的とする中間体に導いた。さらにマグネシウムアセチリドを用いてエンジイン環導入のためのアセチレンの導入にも成功した。この合成法は、様々な置換基を持ったダイネミシンA類縁体の合成を可能にする柔軟性の高い方法である。 CDE環部分の構築は、メトキシレピジンより合成したCD環を含むジエンをクロトン酸エステルとのDiels-Alder反応によって行い、E環上のすべての炭素原子を適切に導入することに成功した。さらに、エポキシ化によって酸素官能基を導入し、現在エンジイン環の導入を検討中である。 昨年度までにダイネミシンAの活性発現に重要な部分を抽出したモデル化合物の両鏡像体の合成に成功していたが、今年度その生物活性についても検討した。その結果、ファージのDNAを用いたDNA切断活性測定ではほとんど差がなく、KB細胞を用いた細胞増殖阻害は(-)体がやや強い活性を示した。さらにラセミ体を用いたin vivoでのP388に対する抗腫瘍活性は1mgでT/C141%を示し、抗癌剤開発の新しいリ-ド化合物となり得ることを示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nishikawa,T.: "Synthesis and Biological Evaluation of Both Enantiomers of Dynemicin A Model Compound" Tetrahedron. 51. 9339-9352 (1995)
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[Publications] Yamamoto,N.: "Synthesis of Bicyclic Hydroxy Lactone Intermediates toward(-)-Tetrodotoxin." Synlett. 505-506 (1995)
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[Publications] Nishikawa,T.: "Synthesis of Anthraquinone Partof Dynemicin A via Diels-Alder Reaction" Chemistry Letters. 113-114 (1996)