1995 Fiscal Year Annual Research Report
森林撹乱のサイズがギャップ環境と更新樹の成長に及ぼす影響に関する研究
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07760154
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 助手 (00231150)
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Keywords | 森林動態 / 撹乱サイズ / 撹乱強度 / ギャップ率 / 魚眼レンズ |
Research Abstract |
林冠のギャップサイズが異なる複数の地点で、魚眼レンズを用いたギャップ特性の評価を行い、同地点で測定された日射量の変化パターンと比較した。その結果、1)1年間の相対積算日射量は魚眼レンズで測定された林冠ギャップ率(天空率)と非常に相関が高かったが、全体として相対日射量を過小評価する傾向があった。2)日射量の頻度分布の解析で、ギャップサイズの違いによる日射強度のピークに違いが認められた。日射強度の頻度分布形をギャップサイズの頻度分布で説明することはできず、全天の3%程度のギャップでも高強度域の日射頻度に大きく寄与することが明らかとなった。3)日射量の季節変化は、葉の展開・落葉によるギャップ特性の変化よりも、個々のギャップの位置に大きく依存していた。 実験的にサイズを変えて形成させた林冠ギャップ下周辺で、日射強度の測定、魚眼レンズによるギャップ特性の解析と日射強度の測定、および実生の発生・消長調査を行った。その結果、1)魚眼レンズで解析されたギャップ率はギャップ中心にピークを持ち、閉鎖林冠下に向かって減少することが明らかとなった。2)ギャップ率のピークはギャップサイズに依存し、閉鎖林冠下の光環境に及ぼすギャップの影響(すなわち林縁効果による光環境の改善)は大ギャップで大きかった。3)更新樹の発生は、(i)アオモジなどギャップ率に大きく依存する落葉先駆木本種群、(ii)スダジイなどギャップ縁に少数成立する常緑種群、および(iii)カクレミノなどのギャップに全く依存せず、閉鎖林冠下のみに成立する多産多死型の常緑種群に分類された。4)このうち先駆種群では、地表撹乱によって発生・成長が促進される種と抑制される種が認められ、光のみならずギャップ下の土壌水分状態が更新樹の成長に大きく影響することが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 村本康治・伊藤哲・野上寛五郎: "照葉樹林の閉鎖林冠下およびギャップ下における光環境の季節変化" 日林九支研論. 49. 印刷中 (1996)
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[Publications] Ito.S and Teraoka,Y.: "Vegetation recovery in experimental gaps in evergreen broad-leaved forests simulated with different size and intensity of disturbance" Poster Abstracts,IUFRO XX World Congress,Tampere 1995. 1-2 (1995)