1995 Fiscal Year Annual Research Report
蒸気処理原料を用いたフレークボードの寸法安定性と強度性能
Project/Area Number |
07760157
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
関野 登 岩手大学, 農学部, 助教授 (30171341)
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Keywords | フレークボード / 高温高圧水蒸気処理 / 圧縮セット / 接着力 / 寸法安定性 / セット回復応力 |
Research Abstract |
本研究は、フレークボードの寸法安定化技術の一つとして、高温高圧水蒸気による原料の前処理を取り上げ、寸法安定化のメカニズムを検討するために、前処理温度がエレメントの接着力および圧縮セットの回復応力に及ぼす影響を木材ブロックを用いて調べたものである。 アカマツ心材(気乾比重:0.46)の立方体ブロック(T:2cm×R:2cm×L:2cm)および接着試験用ブロック(TR:2cm×TR:1cm×L:20cm)を140,160,180,190,200,210,220°Cの7条件で処理した(処理時間は10分と5分)。飽水状態のブロックを80°CでR方向に59%(細胞内孔が消失する歪み)圧縮した後、全乾にしてセット材を調製した。その後、変形を拘束したセット材に80°Cの温水を吸水させ、発生するセット回復応力の最大値を測定した。一方、2個のブロックを一組として接着し(追柾面接着、ユリア樹脂使用、塗布量:300g/m^2、熱圧温度・時間:160°C,10分、圧締圧:10kfg/cm^2)接着面積2cm×2.5cmのブロックせん断試験を行い、せん断接着強度と木破率を求めた。 圧縮歪み59%時の応力は前処理温度の上昇とともに低下し、未処理の76kgf/cm_2に対し200°C処理では半分以下の35kgf/cm_2となった。この圧縮性の増大に起因してセット回復応力(最大)は、14kgf/cm_2(未処理)から6kgf/cm_2(220°C、10min)に低下した。一方、せん断接着強度は180°Cをピークとするマキシマムカーブを描き、160〜200°Cの範囲では未処理材の接着強度を上回った。接着力を保持しつつセット回復力が低減されるほど、ボードの寸法安定化に寄与する程度が大きいと考えると、適切な処理条件は200°C前後・5-10分処理と言える。一方、セット材の寸法の回復は、前処理温度が180°C以上になると急激に低下し、その低下はセット回復応力の低下と関係することが分かった。
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