1995 Fiscal Year Annual Research Report
ニジマスGTリピートDNAを用いた魚類細胞への遺伝子導入ベクターの開発
Project/Area Number |
07760176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 司 北海道大学, 水産学部, 助手 (60241379)
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Keywords | ニジマス / GTリピート / 遺伝子 |
Research Abstract |
マウスやショウジョウバエなどではトランスジェニックアニマルを作る方法がすでに確立されている。これに比べるとトランスジェニックフィシュの研究は研究年数も浅く、技術的にもまだ確立していない。近年、主にゼブラフィシュやメダカなどの小型魚類に外来遺伝子の導入を計った研究が急増しているが遺伝子導入、発現、時世代への遺伝と三拍子揃った成果を出したものは今のところほとんど報告されていない。 一方、同じ遺伝子導入でも植物やショウジョウバエを用いた遺伝子導入ではかなりの確率で外来遺伝子の導入が可能であり、さらに、子孫にその形質を安定に伝えることが可能である。その仕組みとして、これらの生物では外来遺伝子導入ベクター内に染色体の塩基配列と相同な約25bpのダイレクトリピートが存在しており、この配列を用いて相同組換で遺伝子導入が行なわれている。 そのため、魚類の多系分析に用いられているVNTRやGTリピートマイクロサテライト(染色体中に存在する特異的塩基配列で全ゲノムに均等に存在し、メンデル遺伝する事が知られている)の特異的塩基配列を市販のベクターに挿入しにニジマスの卵にマイクロインジェクションすることにより外来遺伝子を相同組換えにより染色体に導入することを試みた。 方法として、GTリピート特異配列ライトアーム(AGATTTACCCAGCCAGGTAG)レフトアーム(CTGTCCCTGTTCAGACTATGT)でレポーター遺伝子を挟みベクターへ接続し卵にインジェクションした。このアームをベクターに接続する方式をセンスかアンチセンス、またはセンスとアンチセンスの3様式作成した。次に、インジェクションした卵の全てを擦り潰し、さらに遺伝子を抽出、レポーター遺伝子に特異的な配列を合成しPCR法により卵に外来遺伝子が導入できたか否かを調べた。その結果、レポーター遺伝子(CAT)の前後に二組のGTリピート特異配列を接合(センス、アンチセンス)した時の遺伝子導入効率は一組のGTリピート特異配列を接合した場合よりも卵への遺伝子導入効率が約15%増加した。
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