1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07760188
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (40222103)
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Keywords | 体表粘液 / 雌雄判別 / ビテロゲニン / カンパチ / スジアラ / 酵素免疫測定法 / 成熟 |
Research Abstract |
カンパチ及びスジアラの雌特異蛋白質(ビテロゲニン)を、エストロゲン処理した試供魚の血しょうからハイドロキシルアパタイトカラムとゲル濾過を使って精製し、ビテロゲニンの物理化学的性状の一部を明らかにすると共に、それぞれのビテロゲニンに特異的に反応するウサギ抗体を作製した。次いで特異抗体を利用したビテロゲニンの微量測定系(酵素免疫測定法もしくはドットブロッティング)を確立し、体表粘液中のビテロゲニンの有無を調べ、体表粘液の早期雌雄判別への利用の可能性を検討した。 カンパチのビテロゲニンの分子量はゲル濾過で約43万と推定された。ビテロゲニンに対する抗体を利用した免疫電気泳動で、エストロゲン処理した魚から得た血しょうは反応し、少なくとも2本の沈降線を形成したのに対し、未熟魚のそれは全く反応しなかった。酵素免疫測定法では成熟雌の血清及び体表粘液は反応したのに対し、成熟雄の血清及び体表粘液は反応しなかった。この結果から、成熟雌の体表粘液には血液中のビテロゲニンと免疫学的に相同な成分が含まれていることが明らかになった。体表粘液中のビテロゲニンは1月の個体から検出でき、体表粘液にビテロゲニンが確認できた個体において血液中にもビテロゲニンが認められた。以上の結果から、カンパチの体表粘液に見いだされるビテロゲニンは血中のビテロゲニンと同じく早期の雌雄判別に利用できる可能性が示された。 スジアラのビテロゲニンの分子量もゲル濾過で約43万と推定された。ビテロゲニンに対する抗体を利用した免疫拡散法で精製したビテロゲニンは卵抽出物と反応し、沈降線を形成したのに対し、雄の血清とは反応しなかった。本種のビテロゲニンは4才魚の血中から初めて検出できるようになったことから、スジアラの一部は人為飼育下においてこの年齢から成熟を開始することが明らかになった。ドットブロッティングでは体表粘液にもビテロゲニンが検出できたことから、本種においても体表粘液のビテロゲニンが早期の成熟雌の区別化に利用できる可能性が示された。
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