1995 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光色素多回ラベリング法による貝類硬組織形成過程の解析
Project/Area Number |
07760190
|
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
大越 健嗣 石巻専修大学, 理工学部, 講師 (60201969)
|
Keywords | 蛍光色素 / 標識 / 貝殻形成 / テトラサイクリン / アリザリン・コンプレクソン / 成長 / マガキ / 水産 |
Research Abstract |
これまで貝類の成長過程の解析には貝殻にみられる成長線(成長縞)といわれる構造が用いられていたが,成長線形成は生理的要因や生息環境要因に左右されやすく,形成要因の特定や正確な成長の計測が困難であった。そこで本研究では,まずこれまでヒトを含め,ホ乳類の歯や魚類の耳石などの標識剤として有効性が確認されている蛍光色素が貝類硬組織形成過程解析のマーカーとして有効かどうかを検討し,さらに有効と認められた標識剤を用いて1回もしくは多回ラベリングを行い形成過程の解析,複数の硬組織の形成過程の関連性の解析を試み知見を得た。 材料と方法:材料-マガキ貝殻,ヒレジャコガイ・ヒメジャコガイ貝殻,腎臓顆粒,ヒザラガイ貝殻,鱗片,歯舌,顆粒などの硬組織。標識剤の検討-テトラサイクリン(TC),アリザリン・コンプレクソン(ALC)について,濃度,処理時間,生残・成長阻害などの影響を検討した。蛍光色素処理後一定期間飼育し,採集・解剖し各硬組織を樹脂に埋め,ダイヤモンドカッターで薄片化し,表面研磨の後,蛍光顕微鏡で観察した。 結果:殻長2-3mmの稚貝では設定したALC濃度に係わらず,処理時間が長くなると死亡個体が増加するという例があったが,他の貝類では両色素とも生残にとくに影響はなかった。貝殻や鱗片への標識はTCの方が観察しやすく,顆粒は自家蛍光があり標識の有無の確認は困難であった。マガキ貝殻ではTC-ALCの多回染色も可能であった。
|