1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体微透析システムによる黄体分泌調節機構の解明(羊を実験モデルとして)
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07760257
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宮本 明夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (10192767)
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Keywords | 黄体 / プロジェステロン / オキシトシン / 生体微透析システム / サイトカイン / PGF_<2α> / プロテインキナーゼC / カルシウムチャンネル |
Research Abstract |
平成7年度は、羊をモデルとして、生体微透析システム(MDS)を、繁殖季節(秋)に過剰排卵後に形成された複数個の黄体に直接埋込み、黄体のホルモン(progesterone : Pおよびprostaglandins : PGs)分泌状況を、次の2つのモデルを用いて詳細に調べた。さらに、“黄体細胞の死"に深く関与していると考えられるサイトカインと細胞内分子機構(protein kinase C : PKCとCα^<2+>)について検索した。 1.退行を開始した黄体内のP/PGs分泌に及ぼすサイトカイン(TNFα)の影響 黄体内にMDSを埋め込んだ後、羊にPGF_<2α>アナログを注射し黄体退行を誘起した。そこにTNFαを各濃度で24h潅流し続けたところ、退行に伴うP分泌の急激な減少が200ng/mlでは3h早められ、一方2000ng/mlでは12hも遅れた。この時TNFαはPGE_2分泌を強く刺激していた。PG合成阻害剤であるインドメサチンを潅流し続けても、P分泌パターンに影響を及ぼさなかった。さらに、退行中のPGs (PGF_<2α>/PGE_2)分泌は退行が大きく進む頃には上昇する傾向を示した。このことから、サイトカインであるTNFαは、PGF_<2α>注射により誘起した黄体退行の機能的変化(P分泌の減少)にも関わっている可能性が示されたが、黄体性のPGの関与についてはその関与の可能性は低いと考えられた。 2.黄体退行に関わる細胞内セカンドメッセンジャー・システムについて MDSを通してPKCまたはCα^<2+>チャンネル刺激剤(TPAとA23187)を直接局所的に感作させたところ、PGF_<2α>自身はP分泌抑制作用を持たなかったが、TPA,A23187ともに感作後P分泌を抑制した。このことにより、羊黄体は、PKCおよびCα^<2+>チャンネル刺激によって機能的退行が引き起こされるが、退行因子であるPGF_<2α>自身は血流を介さない場合、決定的な退行因子ではない可能性が示された。
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[Publications] Miyamoto et al.: "A potential use of in vivo microdialysis system on ovarian physiology。" 1st East Asian Symp.on Anim.Biotech. 1. 171-179 (1995)
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[Publications] Miyamoto et al.: "Effects of tumor necrosis factor-α and interleukin-1 on local release of progesterone,prostaglandin F_<2α> and oxytocin in microdialyzed ovine corpus luteum in vivo." Assist.Reprod.Tech./Androl.8. 21-32 (1995)
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[Publications] Miyamoto et al.: "Local release of progesterone and oxytocin from microdialyzed corpus luteum in superovulated ewes : characterization during the non-breeding season." J.Reprod.Dev.41. 321-329 (1995)
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[Publications] 宮本明夫: "動物生殖機能実験の手引き" 菅原七郎編 川島書店(印刷中), (1996)