1995 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性小脳虫部欠損ラットに出現する血管周囲外顆粒細胞の意義:血管周囲細胞外基質の電子顕微鏡的および免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
07760285
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桑村 充 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20244668)
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Keywords | 小脳皮質異形成 / 小脳虫部欠損 / 神経発達異常 / 動物モデル / ミユ-タント / ラット / 病理学 |
Research Abstract |
遺伝性小脳虫部欠損ラットに出現する異常外顆粒細胞と血管との関係を明らかにすべく、胎生14日齢よりのラットについて、組織学的検討、免疫組織化学を用いた各種細胞外基質の発現検索、電子顕微鏡観察を行った。胎生16日頃より、正常仔では小脳と橋が小脳脚の神経線維束で連絡するのに対して、異常ラットでは小脳脚の発達が悪く小脳組織が直接橋に接していた。同部位は生後10日前後より、小脳の層状配列が乱れ始め、異所性異形成小脳組織へと移行していった。小脳虫部は胎生20日頃より正常仔の正中に細胞塊として確認できるようになったが、異常仔では左右の小脳半球が癒合しているのみで、小脳正中の細胞塊は見られなかった。異常の所見より、小脳脚発育不全が最も初期の変化として注目された。電顕観察により、血管周囲集簇細胞は細胞内小器官の発達が悪く、未分化顆粒細胞の形態を示していた。これらの細胞がアストロサイトの突起と密接に接する像がしばしば観察された。パラフィンおよび凍結切片を用いてコラーゲンI・III・IV、ラミニン、フィブロネクチン、メロシンの発現を免疫組織学的に検索した。異常仔と正常仔の間にこれら細胞外基質の発現パターン・分布の違いは認められなかった。Neural cell adhesion molecule(NCAM)の発現を調べたことろ、Premigratory zoneの外顆粒細胞でNCAMの発現がみられたが、Proliferative zoneの外顆粒細胞および血管周囲異常細胞での発現は見られず、異常集簇細胞のNCAM発現パターンは未熟な外顆粒細胞と一致していた。
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