1995 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の野性げっ歯類におけるハンタウイルスの感染調査と新型ハンタウイルスの分離
Project/Area Number |
07760290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
刈和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (70224714)
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Keywords | 腎症候性出血熱 / ハンタウイルス / げっ歯類 |
Research Abstract |
1)エゾヤチネズミにおけるハンタウイルス感染の疫学調査 げっ歯類におけるハンタウイルス感染の実態と伝播の機序を解析するために、札幌市近郊に設定した定点調査地で捕獲したエゾヤチネズミから諸臓器を採材した。これらについてPCR法でウイルス遺伝子の検出を行ったところ、抗体陽性例からのみウイルスが検出され、エゾヤチネズミが本ウイルスの主病原巣であることが確認された。 2)ドブネズミと実験室ラットにおけるハンタウイルスの伝播機序の解析 ドブネズミと実験室ラットは人に軽症型の腎症候性出血熱を引き起こすSeoul型ハンタウイルスの病原巣動物である。しかし、ネズミ集団内で本ウイルスがどのように維持されているのかは全く知られていない。そこで、我々は流行巣のドブネズミと実験感染させたラットから諸臓器、排泄物と分泌物を採材してPCR法によるウイルスの検出を行った。その結果、感染ドブネズミは感染ラットと同様に尿中にウイルスを排出し、しかもこの尿を経鼻的に接種されたラットの尿からもウイルスが検出された。従って、ネズミ集団で本ウイルスは尿を介して気道的に伝播しているものと判断された。 3)簡便な抗体測定法の開発 我々はプロテインGを用い、同一試薬で多種類の動物におけるハンタウイルス抗体の測定法の開発を行ってきたが、本法では反応ステップ数が多いため多数の検体の処理には時間を要していた。今回、本法をさらに改良し、蛍光色素標識プロテインGを用いることにより、間接蛍光抗体法と同一の手技で簡便に複数の野性動物種のハンタウイルス抗体を同時測定できることが明らかになった。改良法は反応ステップ数が少ないにも関わらず、感度と特異性が従来法とまったく等しいことから、今後、野性動物の疫学調査への応用が期待された。
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