1995 Fiscal Year Annual Research Report
PCR増幅パターンに変化のある牛ウイルス性下痢粘膜病ウイルスの遺伝子解析
Project/Area Number |
07760307
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田島 誉士 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (90202168)
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Keywords | 牛ウイルス性下痢粘膜病 / BVD-MD / PCR / 変異遺伝子 |
Research Abstract |
近年、牛ウイルス性下痢粘膜病(BVD-MD)ウイルスのgp25をコードする遺伝子が正常より約300bp大きく、gp48をコードする遺伝子が正常より約300bp小さいウイルス遺伝子が、PCR検査により野外発症牛から検出された。このPCR増幅パターンに変化のあったBVD-MDウイルス(変異ウイルス)も、既報のウイルス株と同様の発症機序を有していることが接種試験において確認されたことを平成6年度本研究(課題番号06760287)において示した。そこで今回、この変異ウイルスの遺伝子変異様式を追究するために種々検討した。 まず、変異ウイルスおよびBVD-MDウイルスの標準株であるNADL株のPCR増幅遺伝子を制限酵素BspEIで処理した。この酵素の認識部位はgp48遺伝子中に1ヵ所存在するので、NADL株のgp48PCR増幅遺伝子は2本に切断された。しかし、変異ウイルスのgp25およびgp48領域のPCR増幅遺伝子はどちらもBspEIにより消化されなかった。また、NADL株のそれぞれのPCR増幅遺伝子内の任意の25〜30塩基を認識するプローブを用いサザンブロット解析を行ったところ、変異ウイルスのPCR増幅遺伝子はどちらもこれらのプローブと反応しなかった。したがって変異ウイルスのPCR増幅パターンの変化は、gp25およびgp48遺伝子相互の置換ではない可能性が示唆された。 次に、本研究で使用しているPCR用プライマーについて他のウイルス株に関する報告およびコンピューター解析に基づき検討したところ、gp48遺伝子を増幅するプライマーはp20およびp14領域を認識していることが判明した。p14遺伝子はウイルス遺伝子内で再配列を生じやすい遺伝子であるとの報告がある。したがって本研究で対象とした変異ウイルスでも再配列が生じ、そのためまったく別の領域が増幅されている可能性も考えられた。現在この変異遺伝子のシークエンス解析を実施中であり、まもなくその本態が明らかになる。
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