1995 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の極性分化に関する研究(極性分化異常のある中隔内皮細胞の発生機序)
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07770021
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
海藤 俊行 久留米大学, 医学部, 助手 (70268837)
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Keywords | 微小血管 / 内皮細胞 / 乳腺腫瘍 / ジメチルベンツアントラセン / 細胞外基質 / ラミニン / 免疫組織化学 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
研究実施計画をもとに内皮細胞性中隔をもちSeptate microvessal (SMV)についての次の研究成果を得た。 1、その好発組織:S-Dラットの妊娠乳腺(18日)、ジメチルベンツアントラセン誘発乳腺腫瘍(以後乳腺腫瘍)、Wister新生児小腸絨毛、およびICRマウス角膜炎におけるSMV出現頻度は、微小血管の断面数当たり各々0%,0.46%,(n=874), 0%,0%であった。すなわち乳腺腫瘍にSMVが好発することが判明した。 2、乳腺腫瘍における細胞外基質成分の分布と微小血管に特徴的な抗原の発現:妊娠乳腺のラミニンの局在は腺房と血管を取り巻く基底膜に限られていた。一方、SMVが好発する乳腺腫瘍では増生した間質にラミニンが拡散している所があり、しばしばその近傍に腫瘍血管が見られた。内皮細胞内または細胞表面におけるvWF,β GlcNAc, ICAM-1の分布は、妊娠乳腺と乳腺腫瘍の血管で著しい差は観察されなかった。 3、乳腺腫瘍における内皮細胞の分裂頻度:凍結切片上で内皮細胞核の同定が予想外に困難で正確なデータが得られず、細胞分裂頻度を算出できなかった。 4、トルイジンブルー染色切片で確認したSMVの、透過型電子顕微鏡による再観察:光顕で確認したSMVの内皮細胞性中隔は、電顕観察下でやはり基底膜に対して二つの細胞膜部分で接し、細胞骨格、表面小窩に富み、隣接内皮細胞間に高電子密度の細胞間結合を有していた。この結果よりSMVの存在とその構造が再確認された。 5、以上より乳腺腫瘍でのSMVの好発とその間質のラミニン分布異常が判明した。細胞外基質成分は内皮細胞の極性分化を誘導するので、ラミニン分布異常がSMVの中隔内皮細胞形成に関与している可能性が考えられた。今後更に血管内皮細胞の極性分化についてSMVや種々の血管新生退縮の実験系を用いて研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)