1995 Fiscal Year Annual Research Report
P型イオン輸送性ATPaseの細胞内局在化におけるβサブユニットの役割
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07770034
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
野口 俊介 九州工業大学, 情報工学部・生物化学システム工学科, 助手 (30222194)
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Keywords | (Na,K) ATPase / (H.K) ATPase / β-subunit / Caco-2 / sorting / assembly |
Research Abstract |
1. 発現系の構築 昨年度に引き続き表裏の方向性を持つような上皮細胞系における,外来(Na,K) ATPaseβサブユニットまたは(H,K) ATPaseβサブユニットの発現系構築を行った.外来βサブユニット発現のための発現プラスミドはcytomegalovirus immediate early enhancer/promoterを持つ動物細胞用発現ベクターpCEP4を用いて、シビレエイTorpedo califomica発電器官由来の(Na,K) ATPaseβサブユニットcDNAを含む発現プラスミドpCEPNβ,ブタ胃壁由来の(H,K) ATPaseβサブユニットcDNAを含む発現プラスミドpCEPHβをそれぞれ構築した.これらの発現プラスミドpCEPNβ,pCEPHβをClaI切断により直線化し電気穿孔法によりCaco-2に導入した.ベクターのハイグロマイシン耐性遺伝子により遺伝子組換体の選択を行いそれぞれ3×10^6個の細胞からpCEPNβでは3個,pCEPHβでは4個のハイグロマイシン耐性の安定形質転換体を得た.導入遺伝子の発現を確認するため,それらからtotal RNAを抽出し,それぞれ(Na,K) ATPaseβプロープ,(H,K) ATPaseβブロープを用いてノザンハイブリダイゼ-ジョンを行った.その結果いずれの形質転換体でも導入遺伝子の発現は見られなかった.このためベクターをSV40の初期遺伝子プロモーターとネオマイシン耐性遺伝子を選択マーカーとして持つpREP9に換え,発現プラスミドを構築し直しpREP9N,pREP9Hを得た.これらをClaIにより直線化し電気穿孔法によりCaco-2に導入した.ネオマイシンによる選択の結果,それぞれ3×10^6個の細胞からpREP9Nでは2個,pREPqHでは4個のネオマイシン耐性安定質転換体を得た.現在ノザンハイブリダイゼーションによる導入遺伝子の発現の確認を行っている. 2.生合成初期におけるαβ相互作用 3分から10分の短時間標識に於ても,αサブユニットの共存によるβサブユニットの発現量の低下が見られ,生合成の極く初期にすでにαβ間の相互作用が起こっていることが示唆された.またこの際にαでは77kDα,βでは41kDaの分子種が存在することが見いだされた.これらはその分子量からaではM7の後ろのβとのアセンブリーサイト付近,βでは3番目のS-S結合の直後で生合成が中断しているものと考えられ,αβアセンブリーに備えている前駆体ではないかと推定された.実際α由来の77kDa産物はαサブユニットのC末端に対する抗体と反応せず,分解物ではなく合成が中断した分子種であることが確認された.
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