1995 Fiscal Year Annual Research Report
脂質中間代謝体による心筋APT感受性カリウムチャネル修飾機構の解明
Project/Area Number |
07770036
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
佐藤 俊明 大分医科大学, 医学部, 助手 (60244159)
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Keywords | リゾフォスファチジルコリン / ATP感受性K^+チャネル / モルモット心室筋細胞 |
Research Abstract |
モルモットの心室筋細胞をコラゲナーゼ処理により単離し,ともに140mM KClを含む電極内液と潅流液を用いて,内側外面型および細胞接着型パッチクランプ法により,ATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネル電流を記録した.リゾ燐脂質のひとつであるリゾフォスファチジルコリン(LPC)を細胞内側または細胞外側より投与し,そのK_<ATP>チヤネル電流に対する作用を検討した.その結果,(1)内側外面型パッチクランプ法で,細胞膜内側から投与したLPC(10〜50μM)は,細胞内側のATPを除去した条件下で活性化されたK_<ATP>チャネル電流を非可逆的に抑制した。(2)チャネルがrun-downした後,uridine diphosphate(UDP,3mM)添加により再活性化されたK_<ATP>チャネル電流は,LPC(10μM)により抑制されなかった。(3)細胞内側をtrypsin(2mg/ml)処理してrun-downが生じないようにしたK_<ATP>チャネル電流は,LPC(10μM)により抑制されなかった。(4)K_<ATP>チャネル開口薬cromakalim(10μM)や代謝阻害剤carbonyl cyanide p-(trifluoro-methoxy)phenylhydrazone(0.1μM)により活性化されたK_<ATP>チャネル電流を細胞接着型パッチクランプ法により記録しながら,LPC(50μM)を細胞外側(電極内)から作用させた場合,K_<ATP>チャネル電流は抑制されなかった.以上の結果から,LPCは,細胞内側ATP-freeの条件下で活性化されたK_<ATP>チャネル(すなわちrun-downするK_<ATP>チャネル)のみを抑制し,UDP存在下またはtrypsin処理後に内側外面型パッチクランプ法で記録したK_<ATP>チャネル電流や,細胞接着型パッチクランプ法により記録したK_<ATP>チャネル電流(すなわちrun-downしないK_<ATP>チャネル)を抑制しなかった.したがって,K_<ATP>チャネルに対するLPCの作用はチャネルの抑制ではなくrun-downの促進と考えられる。
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