1995 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞の初期分化を制御するZnフィンガー因子の遺伝子単離と解析
Project/Area Number |
07770081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
縣 保年 京都大学, 遺伝子実験施設, 助手 (60263141)
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Keywords | 転写因子 / Kruppel / Znフィンガー / B細胞分化 / lipopolysaccharide / interleukin-4 / RT-PCR / Anchored PCR |
Research Abstract |
本研究では、B細胞の初期分化を制御するKruppelタイプと呼ばれるZnフィンガー因子の遺伝子を単離・解析することを目的として、保存された配列を標的とした高感度なRT-PCR法を用いた遺伝子単離を試みた。モデル系としてLPSとIL-4で刺激したマウス脾細胞からRNAを抽出しcDNAを合成後、保存された配列に対応する混合プライマーを用いてRT-PCRを行なった。さらに予め混合プライマーに付加しておいたアンカー配列を利用したAnchored PCRを行うことで、極微量のRNA(約0.1μg:細胞10^3-10^4個に相当)に由来するcDNAから効率よくZnフィンガー因子の遺伝子断片を増幅可能にした。また遺伝子断片の単離に際し、プラスミドベクターを改変して挿入する遺伝子断片とLacZ遺伝子の読み枠を合わせ、目的とする組み換え体は青色コロニーを形成させ、より効率よく選別できるようにした。現在までに92クローの塩基配列を決定したところ、それらはすべてZnフィンガー因子遺伝子に由来すると考えられ、重複するものをまとめると65種類に分類され、そのうち62種は未知であった。それらを含む多くのクローンの中から、刺激により特異的に発現するようなものを選択するために、刺激あるいは無刺激のマウス脾細胞から調製したRNAからそれぞれ同様にZnフィンガードメイン遺伝子断片をRT-PCRにて調製したものをプローブとして、刺激したマウス脾細胞由来の遺伝子断片のプラスミドライブラリーをスクリーニングした結果、刺激で有意に発現が増強されるクローンが単離できた。今回我々が確立したZnフィンガー因子の遺伝子単離法は、B細胞の初期分化をin vitroで誘導できる、骨髄細胞あるいは胚性幹細胞のストローマ細胞共培養系のような少ない細胞を取り扱う系からの遺伝子単離を可能にするに十分なほど高感度かつ簡便であり、さらに分化の各段階に特異的な遺伝子発現をスクリーニング的に多数同時に検索することができる点でも非常に有意義であるといえる。
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Research Products
(1 results)